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国土交通省渡良瀬川河川事務所,栃木県,栃木県足利市

足利の中橋、街路事業で640m改良、来夏の都市計画決定目指す

2020/10/14 日本工業経済新聞(栃木版)

 国土交通省渡良瀬川河川事務所、県、足利市の3者は13日、足利商工会議所友愛会館で利根川水系1級河川渡良瀬川に架かる主要地方道足利千代田線中橋の架け替えに関する説明会を開催した。通2丁目を起点とし、南町を終点とする延長640m区間に街路事業を導入。都市計画道路3・5・102号家富町堀込線(足利千代田線)を横断する3・6・103号伊勢町渡良瀬橋線、3・4・106号川崎渡良瀬橋線、3・5・115号東武駅前線の市道3路線の交差点を改良する。来年8月の都市計画決定告示を目指す。

 起点部の主要地方道桐生岩舟線を南進し、横断するJR両毛線と伊勢町渡良瀬橋線はオーバーパス。緩やかに上る擁壁区間を経て高架橋に接続。市立美術館西側と道路を渡った反対側には斜路付き階段(幅員4・2m×2)が設置され、鉄道利用者の便を確保する。

 JR両毛線~川崎渡良瀬橋線間は、平面交差する市道を拡幅改良。川崎渡良瀬橋線の右折レーンは車線長50m(滞留長30m、減速車線長20m)。新設する中橋は橋長285m、幅員13・5m(車道3m×2、自転車道2m、歩道3・5m)の鋼5径間連続細幅箱桁。

 既存の3連アーチ橋は下流部にスライドさせ、側道橋に活用。下部工を築造後、ジャッキアップした3連アーチ橋を載せる。幅員7m(歩道3・5m、自転車道2m)。市民要望を踏まえ、巨大アート景観は後世に引き継がれることが決まった。

 新たな中橋の予備設計は2021年2月までの履行期限で八千代エンジニアリング(東京都)が担当中。21年2月以降、橋梁詳細設計を委託する予定。中橋は前後の堤防に比べ左岸側で約3m、右岸側で約2m低い。架け替えと堤防嵩上げ案が妥当と判断した。

 東武駅前線から終点部の東武伊勢崎線高架下間は、平面交差する市道を拡幅改良。東武駅前線の右折レーンは上流側の車線長45m(滞留長30m、減速車線長15m)。下流側の車線長55m(滞留長40m、減速車線長15m)。

 市は中橋の架け替えに併せ、新たなまちづくりに乗り出す。高架下のオープンスペースや3連アーチ橋の一部をオープンテラスに利用。美しい夕日の眺望をアピールし周辺の足利学校や鑁阿寺、織姫神社との回遊性を高め、地元商店街の活性化につなげる。

 中橋の整備事業費は約107億円と試算した。既存の中橋は橋長295・1m、幅員11m(車道7m、両側に2m歩道)。1936年に架設されたモスグリーンが川面に映える長大橋。両側歩道は3連アーチの外側にあり、移設の際に撤去する。

 中橋は渡良瀬川を挟んで南北の市街地を結ぶ。流下能力は毎秒1500立方m、河川整備計画の河道目標流量の毎秒3300立方mの半分に満たない。昨年の東日本台風では桁下まで残り1・2mまで水位が上昇。市は中橋を通行止めにし、浸水被害に備えた。

 中橋付近で堤防が決壊した場合、市街地の多くが浸水し最深部は3mに及ぶと推定。100年に1度の洪水予測では浸水面積4600ha、被災人口3万8000人、浸水世帯1万6000世帯、被害額3000億円のシミュレーション結果が出ている。

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