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栃木県安足土木事務所

安足土木が改修説明会、2径間プレビーム、2橋付近で河道拡幅、用地調査へ

2020/10/20 日本工業経済新聞(栃木版)

 県安足土木事務所は、1級河川秋山川の河川激甚災害対策特別緊急事業・災害関連事業(佐野市植下町~大橋町)の実施計画を説明する地元説明会を開催した。川幅が狭い主要地方道桐生岩舟線大橋や佐野市道53号線中橋の付近では河道を拡幅。大橋の新橋は橋長53・9m、中橋は53・3m。いずれも道路の高さを抑えるため2径間連続プレビーム合成桁の形式を採用。中橋は2021年10月頃に、大橋は22年度初頭に着工する予定。排水樋門や堰の改築も進め、下流の堤防2カ所では漏水対策工を実施する。説明会は16日から22日に4回開催。年内にも用地測量や物件調査に着手する。

 秋山川の改修計画は国道50号下流の大古屋橋から菊沢川放水路までの約3850m。18年度から交付金事業を導入し、下流から整備に着手。東日本台風後、菊沢川放水路から下流の約3000mに激特事業(大橋上流約250mは災害関連事業)が適用された。改良復旧区間の全体事業費は約62億円。下流の交付金区間とともに24年度の完了を目指している。

 事業では河道を掘削して流下能力を高め、堤防の浸食を防ぐ護岸工を実施。高さを合わせるなど必要に応じて堤防の嵩上げを行い、河道を拡幅。拡幅に伴い大橋と落橋した中橋を架け替える。

 河道の標準断面は下流部が53~115m、中橋~大橋付近が52m。堤防天端幅は4mで3mはアスファルト舗装とする。

 大橋の架け替えは橋を含む前後192m区間の街路事業で実施。計画幅員は18m(車道3m×2、右折車線3m、路肩1・5m×2、歩道3m×2)。電線類も地中化する。橋台形式は逆T、基礎形式は場所打ち杭φ1200㎜。

 交通量が多く、架け替えにあたっては破堤した上流側ではなく下流側に幅員10mの仮橋を設置し、交通を確保する。

 中橋は市から受託して現在と同じ幅員5・1m(路肩0・55m+車道4m+路肩0・55m)に架け替える。橋台は逆T、基礎形式は場所打ち杭(オールケーシング)φ1200㎜。

 堤防拡幅によって架け替え後に橋梁の位置が高くなり、道路も高くなることに対しては、橋桁を薄くして可能な限り現在の道路と同じ高さになるよう配慮。中橋の東端部で現在の路面から上がる高さを約30㌢まで抑える。

 杭は大橋の右岸橋台が8本(延長7・5m)、橋脚が28本(19・5m)、左岸橋台が10本(8m)、中橋の右岸橋台が4本(30・5m)、橋脚が9本(28・5m)、左岸橋台が4本(30・5m)を打設する計画。設計は大橋をダイミック(宇都宮市)、中橋をシー・アイ・エス(同)が担当した。

 赤坂堰~天明大橋~大橋の区間は川幅が約40mと狭いため、拡幅して堤防を整備。天明大橋~大橋の区間は宅地側の地盤が計画高水位よりも高い掘り込み河川。決壊の可能性が低いため、堤防の法勾配を通常の2割(約26度)よりも急な5分(約63・4度)とする計画。必要となる用地を少なくし、新橋の長さを短くするなど事業による影響を最小限とする。

 巻堤工は海陸橋と大橋付近の決壊箇所で実施。宅地側にも張りブロックなどの法覆工を施工する。応急工事のブロックなどは本復旧工事で活用する考え。

 堤防の漏水対策工を行う2カ所は、東武佐野線の下流右岸と海陸橋の上流右岸。宅地側の法尻に主に石を使ったドレーンと側溝を設置。堤防内部の浸透水を集めて排水し、堤防決壊を防ぐ。

 下流の統合堰は左岸の飯田堰と右岸の向堰を統合。今年度に右岸側の下部工設置工事(16日開札)、21年度に左岸側の下部工設置工事を発注し、22年度初頭までに工事を完了させる予定。赤坂堰は改築を行わずに流下断面を確保する。

 上流のJR両毛線~菊沢川放水路の区間は主に河道を掘削。川底から深さ約1~2・5mの土砂を撤去する。右岸の堤防は左岸の高さまで築堤し、護岸も再整備。大橋の上流では排水樋門3カ所の改築を予定。管理者の市と協議を進めていく。

 海陸橋上流、大橋上流の決壊箇所は宅地側もコンクリートで覆う強固な応急工事が完了。これまでJR両毛線下流部のほか、海陸橋付近から下流を中心に護岸工事8件と排水樋門工事2件に着手した。着手率は約20%。

 21年度は中流部の赤坂鷹部屋橋付近から大橋の上流、22年度は東武佐野線や大橋付近、両毛線の上流などで工事を予定。

 計画流量は430㌧/秒。現在の大橋付近の流下能力は290㌧/秒で約1・5倍の流下能力を確保する。

 設計は護岸など河道部を栃木県用地補償コンサルタント(栃木市)、大橋町の樋門を富士コンサルタンツ(宇都宮市)、大日本コンサルタント(東京都)が担当している。

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