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県河川整備計画変更原案、田川の岩曽・川田調節池追加、巴波川地下捷水路も

2020/10/29 日本工業経済新聞(栃木版)

 県河川整備計画懇談会が28日に開かれ、田川圏域と巴波川圏域の計画変更原案が審議された。原案では昨年の東日本台風による田川(宇都宮市)、巴波川(栃木市)の浸水被害を踏まえた整備内容を位置付けるとともに、今後20年間を見据えて下流部も施行区間に追加。田川は岩曽調節池、川田調節池を含む山田川合流点(宇都宮市)~田川放水路(小山市)までの延長約29・3㎞、巴波川は地下捷水路約2・4㎞と国道50号新巴波川橋(小山市)~平成橋(栃木市)の約9㎞を施行区間に加えた。

 田川、巴波川は中心市街地で大規模な浸水被害が発生。県では来年度からの改良復旧事業着手を目指して宇都宮市、栃木市、国などと検討してきた対策を原案に盛り込んだ。

 田川の改良復旧事業は上流の山田川合流点付近(岩曽)と下流の給分堰付近(川田)付近の左岸にそれぞれ越流堤を設け調節池を1カ所ずつ設置。調節池間の約6・5㎞では河床を約50㌢掘り下げ河積を確保する計画。

 岩曽調節池は面積約18・5ha、容量24万3000立方m。調節池用地では山田川を北側に付け替える。川田調節池は約16・6ha、容量33万6000立方m。いずれも掘削深は田川と同程度とし、市街地に隣接する地域特性と整合を図り利用面や環境面に配慮。今後は模型実験などを行い効果的な構造を検討する考え。

 計画流量は山田川合流部付近が毎秒640立方m、下流部が600立方m。岩曽調節池で毎秒50立方m、川田調節池で40立方mをカット。整備にあたっては川田調節池を設置した後に河床を掘削し、岩曽調節池を設置していく方針。河床は澪筋を可能な限り維持したスライドダウン型での掘削など安全や環境に配慮する。

 給分堰から小山市田川地区の田川放水路までは約22・8㎞。一部に基準より薄い堤防があるため施行区間に追加する。

 巴波川の地下捷水路区間は荒川合流点下流(大町)~平成橋下流(沼和田町)の約2・4㎞。管径は約5・5m、計画流量は毎秒60立方m。第3小学校付近の県道栃木粕尾線から宇都宮亀和田栃木線、南小林栃木線などの直下に築造する。

 捷水路の下流約9㎞の区間は計画流量を現在の毎秒205㌧から220㌧に拡大。河床の掘り下げなど2次改修を実施していく。

 田川、巴波川とも市街地での河川整備と併せて田んぼダム、学校・公園の貯留機能創出、宅地等の雨水貯留・浸透施設設置、栃木市による普通河川の調節池整備など流域対策を推進。河川の安全度をより高めていく。

 田川圏域整備計画は第4回、巴波川圏域整備計画は第3回の変更。整備が完了した区間を計画から除外。田川は堤防の質的整備を行った下反地区約4・7㎞と本川改修を終えた江川の約6・7㎞区間、巴波川は新巴波川橋の直下流区間を削除する。

 原案は11月6日から約1カ月パブリックコメントを実施。第2回河川整備計画懇談会、関係市町長への意見聴取などを経て来年1月に国土交通大臣へ認可申請。来年3月までに変更計画を策定する予定。

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