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栃木県下野市

下野市、天平の丘公園再整備、21年度に個別施設設計、一部着工

2020/10/29 日本工業経済新聞(栃木版)

 下野市は、天平の丘公園再整備基本計画策定(国分寺)に着手した。基本構想では総面積約27haのうち、国指定史跡の下野国分寺跡を除く約21haを再整備する。開園から30年以上が経過し、施設の老朽化や多様化するニーズに対応できていないのが実情。2021年度は個別施設の設計を委託するとともに、駐車スペースの幅員を現行の2・3mから2・5mに拡張するラインの引き直し工事を予定している。年間を通じ、多くの利用者が訪れる魅力的な公園にリノベーションを図っていく。

 市南西部に位置する天平の丘公園は、花広場を会場とする春の「天平の花まつり」や秋の「天平の芋煮会」に象徴される市の一大観光拠点。例年20万人以上が来訪するものの、イベント時以外は周辺住民の散歩以外の利用者がほとんどいない状況。

 基本計画策定は栃木都市計画センター(宇都宮市)が担当。アンケートでは桜の樹勢回復や四季折々の花が咲く樹木整備が最も多く、次いで新たな人の流れを呼び込む施設や仕掛けの導入を求める声が寄せられた。史跡地の周遊を促し、来訪者に優しい公園とする。

 特に駐車場は車両1台当たりの駐車スペースが狭く、再整備を求める意見が目立つ。ワンボックスカーが余裕を持って駐車できる幅員2・5mへ拡張。駐車マスのラインが消えかかっており、ラインを引き直す。身障者対応のおもいやり駐車スペースを増やす。

 対象エリアは20万8471平方m。主な施設は下野国分寺跡2万8080平方m、しもつけ風土記の丘資料館周辺1万221平方m、花広場1万1357平方m、西駐車場3万5555平方m、東駐車場5230平方m、夜明け前・山林11万8028平方m。

 ①風土記の丘資料館(国分寺、国分尼寺、花広場へ近接)②花広場(イベント主会場)③国分尼寺跡(岐阜県本巣市の国指定天然記念物の苗を移植した淡墨桜の名所)④夜明け前(古民家カフェ、国見山)⑤平地林(散策路)⑥花広場南(十月桜の名所)-にエリアを設定。

 風土記の丘資料館エリアは東駐車場の拡張(尼寺グラウンドの転用)、駐車マス引き直し、北側退出路の新設、障害者駐車エリアの設定、他エリアへの誘導サイン、トイレ設置、公園管理施設の建設、市道2-22号線の改良(歩道新設、舗装修繕)を検討。

 花広場エリアはトイレの老朽化やイベント時のトイレ不足、駐輪場の整備、側溝蓋の老朽化、ユニバーサルデザインへの対応、外国語表記の案内看板設置、園路にせり出した桜の枝の伐採、桜やツツジ以外の植物が少なく四季を通じた花々の植栽が課題。

 国分尼寺エリアは国指定史跡内だけに、現状変更の際は文化庁長官の許可が必要。淡墨桜の老木化に伴う子孫樹の育成、淡墨桜の誘導標識設置程度にとどめる。夜明け前エリアは上から桜を眺める展望塔の設置、国見山外周堀の活用、水生植物園の管理を挙げた。

 平地林エリアは遊歩道「防人街道」と園路の融合、経年劣化した四阿やベンチの改修、研修・公園管理棟「秋山邸」の在り方、万葉植物園の拡張、旧アスレチック広場や明日香川排水の利活用、薄暗い樹林地の日照確保、歌碑や石碑の管理と課題が多い。

 花広場南エリアは旧西方町金崎(栃木市)から移築したカラクリ水車小屋(直径4mの水車が12のキネでコメをつき、2つの石臼で麦やソバ粉をひく)見せ方の工夫、炭酸まんじゅう直売所「かたかご亭」(花まつり期間中に営業)の在り方を検討する。

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