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県農業振興計画素案、ため池対策実施数46施設、流域での雨水流出も抑制

2020/10/31 日本工業経済新聞(栃木版)

 県農政審議会(会長・秋山満宇都宮大学農学部教授)が30日に開かれ、県農政部から次期農業振興計画素案が示された。素案は重点戦略の取り組みや地域計画を記載。基幹的農業水利施設は14施設で長寿命化を図り、防災重点農業用ため池の対策実施数を46施設とする5年後の数値目標などを設定した。

 計画期間は2021年度から5カ年。就農環境日本一の実現を目指し、人口減少や気候変動に対応する持続的な農業・農村の実現や未来技術活用という新たな視点を加え、人材の確保・育成、生産力や農業生産環境の向上、農村振興などの施策を展開する。

 分野横断的な重点戦略には安全・安心なとちぎの農村づくり、新しい人の流れの創出による農村地域の活性化、稼げる水田農業の実現や新たな施設園芸の展開などに関する取り組みを推進。

 安全・安心なとちぎの農村づくりでは農村地域の防災力強化として河川管理者や市町、土地改良区などとの連携による農地・農業用水利施設を活用した雨水の流出抑制対策を推進。25年に3流域(20年0流域)で対策を実施する目標を掲げた。

 防災重点農業用ため池は適切な管理・保全に向け監視体制を強化。豪雨・耐震調査と施設機能の適切な維持や補強に向けた対策を実施。対策を講じた防災重点農業用ため池を20年の3施設から46施設に大幅に増加させる。また、農業水利施設は長寿命化対策を推進するとともに、施設の再編整備や省力化技術の導入による効率的な維持管理を促進する。

 農村地域の新しい環境づくりでは、法面の緩勾配化や水路の暗渠化など農業者の安全性にも配慮した人にやさしい生産基盤づくりを推進。スマート農業技術の実装に加えてワーケーションに対応した農泊など新たな生活様式にも活用できる情報環境を整備していく。

 稼げる水田農業では農地の大区画化や先端技術による作業の省力化、生産性向上を図る団地化を促進。畜産ではキャトルセンターによる公共牧場の機能強化を実施。先端技術を活用した次世代の教育基盤整備などを進める。

 農業振興事務所単位の7つの地域計画の5年後の数値目標では、河内地域が水田の50㌃以上の大区画化面積を1830ha(19年1740ha)、上都賀地域は次世代型生産基盤技術計画地区数を3地区(0地区)に増加。

 下都賀地域は圃場整備実施地区でのスマート農業実践面積を140ha(19年5ha)、50㌃以上の大区画整備率18・3%(16・8%)に設定。

 芳賀地域は畑の圃場整備面積を1435ha(19年1375ha)、那須地域は圃場整備事業実施地区数を8地区(4地区)、塩谷南那須地域は防災減災対策に取り組む水利施設を24施設(17施設)にそれぞれ増加させる目標を掲げた。

 計画は来年2月に決定し、3月までに公表する予定。

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