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栃木県県土整備部

県県土整備部、姿川大谷3.8㎞、小藪川楡木町3.3㎞、来年度から測量や詳細設計へ

2020/11/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 県県土整備部は9日、2021年度から安全な川づくり事業に着手予定の1級河川姿川大谷工区(宇都宮市)、小藪川楡木町工区(鹿沼市)の事業概要を県公共事業評価委員会(委員長・執印康裕宇都宮大学農学部教授)に報告した。いずれも河道掘削や築堤により流下能力を増大させ、治水安全度の向上を図る。大谷工区は延長3800m、総事業費約28億円、楡木町工区は延長3300m、総事業費約29億円。大谷工区では豆田川合流部付近に調節池を設置する。21年度は測量や詳細設計に着手。工事は楡木町工区が21年度から、大谷工区が23年度からの実施を予定している。

 大谷工区の事業予定区間は主要地方道宇都宮今市線の大谷橋(大谷町)から上流の桜田橋(新里町)まで。姿川は1951年から河川改修に着手。思川合流点から順次整備が進められ、今年度に大谷橋まで完了する予定。桜田橋の上流は砂防事業で整備が完了している。

 事業区間の現況流下能力は約70立方m/秒。流下能力が不足しているため2015年の関東・東北豪雨、19年の東日本台風で浸水被害が発生した。浸水被害を早期に軽減するため事業に着手する。

 事業概要は計画規模10分の1、河道計画流量80立方m/秒、調節量20立方m/秒とし、100立方m/秒の水を安全に流下させる。計画河床勾配は200分の1。

 主要工種は築堤2200立方m、掘削2万8200立方m、護岸工1万3800平方m、橋梁10橋、堰4基。

 現況の河川法線を活用する計画で、中流部に調節池を設置して下流部の流量を低減させる。調節池の面積規模は5~10haを想定し、詳細設計で計画を固めていく。生物の生息環境や景観に配慮した多自然川づくりを基本に整備を進め、大谷地域の振興を図る区間では賑わいのある水辺空間の創出に努める。

 事業期間は21~30年度。測量・詳細設計を21~25年度、用地調査・取得を21~24年度、工事を23~30年度に実施する予定。事業費は測量設計に約5億円、用地補償に約3億円、工事に約20億円を見込んでいる。

 楡木町工区の事業予定区間は黒岩堰(楡木町)から上流の主要地方道鹿沼足尾線小藪橋(樅山町)まで。小藪川では1966年から河川改修に着手。思川合流点から1級河川上流端まで整備が進められ、下流部の約2・5㎞区間は整備が完了。上流側の約6・2㎞区間も今年度に概ね整備が完了する予定。

 事業を計画する区間は過去に圃場整備事業関連で土地改良事業者が80立方m/秒の暫定整備を実施したものの、13年7月豪雨、15年関東・東北豪雨、19年東日本台風で浸水被害が発生。早期に浸水被害を軽減する必要性が生じている。

 事業概要は計画規模10分の1、河道計画流量110立方m/秒、計画河床勾配210分の1。河川用地は概ね確保されており、現況を生かした河川法線とする計画。

 主要工種は築堤4000立方m、掘削8万8000立方m、護岸工3万4000平方m、橋梁2橋、堰4基。

 事業期間は21~28年度。測量・詳細設計を21年度に、用地調査・取得を21~22年度に進め、工事を23~28年度に実施する予定。事業費は測量設計に約3億円、用地補償に約2000万円、工事に約26億円を試算している。

 大谷工区、楡木町工区とも建設発生土を築堤材に活用。公共工事間での流用にも努め、建設コストを縮減する。

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