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県公共事業評価委、若草、西川田住宅建替え承認、30億以上の大規模事業、293号楡木BPⅡ期も

2020/11/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 県公共事業評価委員会が9日に開かれ、県土整備部が2021年度から事業着手を予定する県営若草住宅(宇都宮市若草)と西川田住宅(同八千代)の建て替え、一般国道293号楡木バイパスⅡ期工区(鹿沼市下奈良部町~磯町)の事前評価を審議。いずれも県の対応方針を了承した。

 住宅建て替えの整備戸数は若草が300戸、西川田が170戸。いずれも現在地で住棟を3棟に集約して高層化する。構造・規模は若草住宅がRC造8階建て延べ床1万7400平方m、西川田住宅がRC造6階建て延べ床9750平方mを予定。

 事業期間と総事業費は若草住宅が2021~33年度、約80億円、西川田住宅が21~35年度、約50億円を見込んでいる。

 いずれも建設から60年近くが経過。老朽化が進み、温熱環境や遮音性といった住宅性能が現行の整備基準を満たしていない。入居者の半数近くが高齢者でエレベーターの設置や段差解消などバリアフリー化も求められている。

 建て替え事業で入居者の安全や居住水準を確保し、高齢者や子育て世帯など誰もが安心して快適に暮らせる居住環境を整える。両住宅とも階段廊下は片廊下型とする。

 若草住宅は移転補償を21~29年度、基本設計を21年度、実施設計を22~29年度、工事を23~33年度に予定。敷地面積は1万6467平方m。

 事業費は測量設計に約4億円、工事に約75億円、移転補償に約1億2000万円を試算。

 西川田住宅は移転補償を21~31年度、基本設計を22年度、実施設計を24~35年度、工事を24~35年度に計画。敷地面積は9924平方m。

 事業費は測量設計に約2億円、工事に約47億円、移転補償に約8000万円を見込む。

 敷地内で住棟を集約、高層化することで現在とほぼ同じ戸数と駐車場スペースを確保するとともに、建設費や維持管理費を縮減する。発注スケジュールなどを工夫して事業コストの平準化を図る考え。

 楡木バイパスⅡ期は現道東側の楡木バイパスⅠ期工区終点と鹿沼南バイパス起点を結ぶルート。総延長は3000m。事業予定期間は2021~30年度。総事業費は約50億円。

 標準幅員は主要地方道宇都宮楡木線の北側1800mが2車線22m、南側1200mが4車線30・25m。暫定2車線で整備。

 主要構造物は1級河川黒川に橋梁1橋と東北縦貫自動車道交差部に函渠1基を設置する。

 293号は県の東部から南西部地域を通る広域的な幹線で緊急輸送道路。広域道路網マスタープランで主軸を補完するルート「栃木西部都市連絡幹線」の一部を形成。現道は交通量が多く、朝夕を中心に交通渋滞が発生。宇都宮楡木線との楡木町交差点は主要渋滞箇所と事故危険箇所、北側の大門宿交差点も主要渋滞箇所に指定されている。

 このため県ではバイパス整備を計画的に推進。15年度に東北自動車道南側の鹿沼南バイパス(2900m)を暫定2車線で供用。北側では一般県道鹿沼環状線からの楡木バイパスⅠ期工区(2300m)を20年度末に供用させる予定。

 中抜け区間のⅡ期工区が整備されると地域間連携が促進され、交通渋滞が緩和。交通事故が減少し、安全安心で円滑な道路交通が確保されるとともに防災機能も強化される。

 計画交通量(2030年度)は宇都宮楡木線の北側が9000台/日、南側が1万4000台。道路区分は第3種第2級。

 幅員構成は北側が車道3・25m×2、路肩0・75m×2、施設帯2m×2、副道5m×2。南側は車道3・25m×4、中央帯1・75m、路肩0・75m×2、施設帯2m×2、副道5m×2。黒川に架設する橋梁は橋長118m、東北道下の函渠は延長51mを予定している。

 今年度は道路の予備設計を実施。21年度から構造物の詳細設計や用地調査、22~24年度に用地取得、23~30年度に工事を進める予定。事業費の内訳は測量設計に約2億円、用地補償に約7億円、工事に約41億円を見込んでいる。

 整備にあたっては側溝を無蓋化し、橋梁や函渠では新工法を検討。再生材の利用や公共工事間で建設発生土の流用に努めるなどコスト縮減を図る。

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