記事

事業者
栃木県塩谷南那須農業振興事務所

塩谷南那須農振、船生頭首工ゲート1月公告、10㎞水路工 来年度から設計工事、隧道補修、水路工も発注

2020/12/02 日本工業経済新聞(栃木版)

 県塩谷南那須農業振興事務所は、県営農業水利施設整備事業船生地区(塩谷町)の工事に着手する。船生頭首工は全9門のゲート設備製作据え付け工事の条件付き一般競争入札を来年1月にも公告。2021年度は9月までに魚道補修工事などを発注する。改修する船生用水と平作堀用水は約1万400mの全区間で測量に着手し、来年1月には日光市高徳地区の隧道補修工や山口地区の水路工の発注を予定。水路の設計と工事は21年度から25年度まで順次実施。小水力発電施設工事は来年度に実施する方針。総事業費は27億6200万円、今年度事業費は4億8900万円。

 高徳地区の鬼怒川に設置された船生頭首工は1952年から55年に造成され、取水量は毎秒2・48㌧。取水ゲート3門、土砂吐ゲート2門、排砂ゲート2門、隧道取水ゲート2門を更新し、金属製の戸当たり部分も交換。各ゲートの上部に設置されている人力ギア操作の開閉設備なども更新する予定。ゲート工事の入札は本庁執行案件。

 取水口の除塵機は形式や設置について検討を進めており、設置する場合は来年度早々に工事を発注。ゲート関係の設備以外はコンクリート魚道を来年の渇水期に補修。船生頭首工の工事は来年度に完了する予定。

 ゲート据え付けに必要な工事用道路は下流の高徳中岩河川公園側から河川敷に築造。工事用道路と魚道補修を合わせた発注を検討する。ゲート設備の実施設計は宇都宮測量(宇都宮市)が担当している。

 船生用水は船生頭首工から国道461号現道交差部までの延長1万1839・2mのうち、近年改修が行われた区間を除く8922・6mで工事を実施。平作堀用水は2441・5mのうち1504・4mで工事を実施する計画。

 船生用水は隧道6カ所と開水路、平作堀用水は隧道1カ所と開水路で構成。開水路は幅3m程度、隧道は馬蹄形で幅2m程度。隧道区間は主に上流で総延長約2800m。

 今年度は水路測量業務11件を3日までに入札。21年度からは年度ごとの工事箇所の設計を早期に委託し、渇水期に施工する予定。水路は劣化状況に応じてL型水路による更新や断面補修など適切な工法を選定していく。

 今年度に発注する隧道は船生頭首工近くの延長約60m。ライニングによる表面補修などを計画。1月に指名通知して入札する予定。

 山口地区の水路は1級河川土佐川東側の更新工事。延長は約280m。年明けの工事発注を目指して用地調査を進めている。

 21年度に工事発注を見込む小水力発電施設は、平作堀用水から土佐川への放水口水路(幅2・5m)に落差を利用して設置。出力は35kw。発電された電力は売電し、土地改良区の施設維持管理費を削減する。

 事業では2カ所の除塵機設置を計画。船生頭首工のほか、泉川放水口との分岐部に設置する。遠隔監視カメラは6台。船生頭首工の取水口と隧道取水口に各1カ所、白石川放水口、土佐川放水口、泉川放水口との分岐部に各1カ所、平作堀用水の土佐川放水口に設置する計画。維持管理の負担を軽くする。

 事業費は船生用水と平作堀用水の水路工事に約19億3300万円、船生頭首工に約1億8300万円、小水力発電施設に約9700万円、水管理省力化施設(除塵機・カメラ)に約1億500万円、測量設計費に約4億3400万円を試算している。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら