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栃木県環境森林部

県森林創生ビジョン素案、災害に強い森づくり、産業力強化、人材育成に重点

2020/12/08 日本工業経済新聞(栃木版)

 県環境森林部は、森林・林業・木材産業の基本計画となる「とちぎ森林創生ビジョン」の素案をまとめた。重点施策に森林の公益的機能の高度発揮(災害に強い森づくり)など3項目を掲げ、とちぎ材の用途開発や需要の拡大、国土強靭化の治山対策、林地の地籍調査、林業大学校(仮称)の開設などを推進する。計画期間は2021~25年度。

 基本理念は林業・木材産業の成長産業化と持続可能な森づくり。重点施策は災害に強い森づくりのほか、稼げる林業の実現(産業力強化)、次代を担う人材の育成。航空レーザー計測による量や規格、樹種、境界など森林資源情報の把握、生産管理のICT化などスマート林業を共通施策とする。

 近年の激甚な山地災害などに対応するため治山対策を推進。治山施設整備に着手した山地災害危険地区数(累計)を25年度に125カ所、20年度に250カ所とする。19年東日本台風の復旧整備は22年度までの完了を目指す。治山ダムの嵩上げや増厚など計画に基づいた治山施設の長寿命化を実施。山地防災ヘルパーと連携した情報収集などの活動を強化する。

 とちぎ材の競争力強化ではハウスメーカーや中大規模建築物などの分野で需要創出を図る。大径材活用に資する心去材の用途開発、とちぎ版CLTのNTL等のマッシヴホルツ、スギやヒノキのハイブリッド製品開発・導入、ヒノキ材の用途拡大、新たな日常に対応した商品開発を進める。

 林業機械の複数化・大型化に対応した路網の整備、新技術導入による素材生産の効率化を促進。間伐と皆伐のバランスをとりながら素材生産力を強化していく。

 林業産出額の目標は24年度135億円(18年度107億円)、29年度155億円、素材生産量は25年度70万立方m(19年度45万立方m)、30年度80万立方m、主伐面積は25年度700ha(302ha)、30年度900haとした。

 スマート林業では作業の自動化や森林地形データ・路網設計ソフトなどを活用。また、林道や作業道といった路網の整備にあたっては地形などを考慮した壊れにくい構造とし、災害に強くする。

 地籍調査は航空レーザー計測などリモートセンシング技術を活用して効率化。森林組合による地籍調査の累計面積の目標は25年度3700ha(19年度278ha)、30年度4800ha。

 林業大学校による総合的な人材の育成、とちぎ材の利用を支える建築士を対象とした講習などを進める。

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