記事

事業者
その他記事(民間)

県および市の主観点調査(2020年度)

2020/12/18 群馬建設新聞

弊紙は、格付けの大きな要素となる主観点について、県と12市に状況を確認した。安中市を除いて主観点を採用、いずれも工事成績評点といった企業が持つ技術力の評価項目を取り入れている。ボランティア活動や災害協定など社会性評価も盛り込まれ、項目数に隔たりはあるものの増加の傾向がある。2021年度になると多くの発注機関で次期入札参加申請の話題が出てくる。注目すべきは、国土交通省が進める建設キャリアアップシステム(CCUS)。導入状況による評価が加えられる可能性もある(各発注自治体の項目一覧は3面)。

業種別に設定される各企業の格付けは、2年に1度の入札参加申請により提出された資料を基に行われる。ベースとなるのは経営事項審査による点数、いわゆる客観点。それとともに各発注機関が独自に設定する主観点がある。客観点はいずれの発注機関でも同じ点数となるが、客観点は採用している評価項目によるため、総合数値は発注機関ごとに異なる。

県内発注機関の主流となる県および12市の動向をみてみる。主観点は安中市を除いた、県と11市が採用。また、富岡市は、地域貢献や雇用状況などの項目を設けずに、前年度の工事成績評点のみで主観点を算出している。

導入している全発注機関が採用しているのは、工事成績評点からの評価点。良い仕事をすれば評価があがることを具現した対応となる。また、優良工事など表彰制度がある発注機関は、受賞工種に限定するかは別として、加点して評価を上げている。各企業の取り組み意欲の維持・向上にもつながる。

企業の技術力を評価するもののほかに、社会性についての評価項目がある。地域貢献といったもので、内容は清掃ボランティアの実施状況、災害協定はじめ防災活動状況、消防団員登録など多岐にわたる。降雪のある地域には除雪作業への貢献なども。こういった項目により、積極的に地域のために動いている企業を評価している。

このほかの項目として、エコアクション21やISOシリーズの取得、災害時の事業継続力認定(BCP)の有無、労働災害防止への取り組みなど、間接的に企業価値を高めようとするものがある。また、各発注機関の施策に影響されるもので、自立更生支援や障害者雇用などの項目もある。近年は、子育て支援推進や女性への配慮などが目立ってきた。

CCUSへの対応について、県でも具体的な話は出ていない状況。国発注のモデル工事では、工事成績評点の加点・減点項目として設定されており、すでに間接的な評価項目とも言える。また、長野県はCCUSへの事業者登録を行った企業に対する加点を検討しているという。こうした制度の変化はトップダウンが基本となっており、国および県の動きが、周辺市町村へ大きく影響する。このほかに、新型コロナウイルスへの対策状況や、働き方改革に伴う取り組みの追加が考えられる。

企業の技術力を反映させた評価に加え、地域への貢献度の評価など、社会資本整備といわれる公共事業に携わる企業へ求められる事項が評価項目に設定され、これまで続いてきた。これからも、時代の要請に基づいた評価項目が増えていくことが考えられる。時代の最先端を行く、これが建設産業なのだ。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら