記事

事業者
国土交通省,政府

【流域治水】実効性確保へ関連法案改正で枠組み整備

2021/02/03 本社配信

 政府は2日、今国会での成立を目指す特定都市河川浸水被害対策法等の一部改正案(流域治水関連法案)を閣議決定した。あらゆる関係者が協働で取り組む「流域治水」の実現に向け、流域治水の計画・体制の強化や氾濫をできるだけ防ぐための対策、被害の軽減や早期復旧・復興のための対策など実効性を高め、強力に推進するための法的枠組みを整備する。

 改正案では、流域水害対策計画を活用する河川について、市街化の進展により河川整備で被害防止が困難な河川に加えて、自然的条件により困難な全国の河川を対象に追加する。また、国、都道府県、市町村等の関係者が一堂に会する流域水害対策の協議会を創設し、官民による雨水貯留浸透対策の強化、浸水エリアの土地利用などを協議。協議結果を流域水害対策計画に位置付け、確実に実施していく。

 河川・下水道における対策の強化では、利水ダムの事前放流拡大を図る協議会を創設するほか、下水道で浸水被害を防ぐべき目標降雨を計画に位置付け、整備を加速させる。下水道の樋門等では操作ルール策定を義務付け、河川から市街地への逆流などの確実な防止を目指す。流域の雨水貯留対策も強化し、貯留機能保全区域を創設して沿川の保水・遊水機能を有する土地の確保や、認定制度、補助、税制特例により自治体・民間の雨水貯留浸透施設の整備を支援する。また、都市部の緑地を保全して貯留浸透機能を持つグリーンインフラとして活用する。

 水防災に対応したまちづくりとの連携では、防災集団移転促進事業エリア要件の拡充を図るほか、災害時の避難先となる拠点の整備や地区単位の浸水対策により市街地の安全性強化につなげる。

 洪水等に対応したハザードマップの作成は中小河川等まで拡大し、リスク情報空白域を解消。早期復旧の関係では、国土交通大臣による権限代行の対象に、災害で堆積した土砂の撤去、準用河川を追加する。

 法改正による効果として、浸水想定区域を設定する河川数を2020年度の2092河川から、25年度には約1万7000河川まで増加させる。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら