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栃木県小山市

小山市 排水強化対策、新年度に島田放水路着手、立木排水路は22年度 準用河川へ

2021/02/05 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は、農業用用排水路の「小山栃木排水路」(島田、延長350m)と「立木排水路」(立木、延長700m)を準用河川に指定する。小山栃木排水路は「島田放水路」の名称で21年度、立木排水路は22年度にそれぞれ指定。市の管理河川となり、市が排水強化対策に着手する。事業期間は島田放水路が21~25年度の5カ年間、立木排水路の調節池築造は22~25年度の4カ年間。総事業費19億円(島田放水路11億円、立木排水路8億円)を投じる。

 両排水路は2015年の関東・東北豪雨で氾濫し、甚大な浸水被害が発生した。市が排水強化対策を講じるには河川法に基づく準用河川への指定が必要。市議会2月定例会に「準用河川管理施設等の構造の技術的基準を定める条例」をはじめ関係議案3件を上程する。

 【島田放水路】

 小山栃木排水路は既存水路を現況のまま運用し、新たに放水路を整備する。普段は放水路を水門で閉鎖し、豪雨水位上昇時には水門開放により排水する。21年度に総合流域防災事業の採択を目指す。20年度は測量を三条工測(市内)に委託した。

 事業区間は思川合流部~JR両毛線交差部付近の延長700m。既設水路からの分水路を思川河川区域外と1級河川思川区域内に新設する。思川河川区域の延長350m区間は準用河川の指定から外れる。当初計画していた既設水路の拡幅案は見送った。

 事業内容は河道拡幅、築堤、樋門施設1基、分水路(放水路)新設1基、市道橋の架け替え1カ所を計画した。21年度は地質調査、予備・詳細設計(河道、橋梁、樋門)を委託、22年度は用地測量を委託する。用地買収や物件補償を経て23年度に着工予定。

 放水路の整備と同時に河道の両岸に現況地盤高1・1mの堤防を築く。排水能力は現行の毎秒15立方mから毎秒35立方mに拡大する。設計規模は20年確率(日量降雨190・3㎜)に対応。流下能力は各段に向上し、思川の樋門閉鎖時間を短縮できる。

 【立木排水路】

 立木排水路は22年度に総合流域防災事業を導入し、調節池を新設する。22年度は地質調査、調節池の予備・詳細設計を委託する。23年度は用地測量を委託後、24年度は用地買収と物件補償。25年度に着工し、単年度で一気に築造する。

 整備面積は1万1000平方m、水深2m、容量2万2000立方m。豪雨時に水路から溢れた水を貯留し、市街地への浸水被害を軽減。調節池には排水ポンプを設置する。設置場所は測量や設計を通じ、最もふさわしい位置を多角的に検証する。

 関東・東北豪雨の際には線状降水帯が居座り、県内は48時間の降水量が600㎜を超える大雨を観測。市内の24時間雨量は最大で266㎜。思川の水位が急激に上昇し、行き場を失った豊穂川の水が逆流。豊穂川は溢水し、一帯は甚大な浸水被害に見舞われた。

 付近の雨水排水は3系統に区分。北から小山栃木排水路(流域面積947・36ha)、中間の立木排水路(128・08ha)、南側の豊穂川(1607・38ha)。小山栃木排水路と立木排水路は、いずれも樋門を通じて思川に排水される。豊穂川は思川に直接合流する。

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