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東日本から10年

2021/03/11 群馬建設新聞


2011年3月11日午後2時46分に三陸沖を震源に起きた東日本大震災。県内は最大震度6弱を記録。住家1万7253棟が被災し、死者1人、重傷者14人の被害が発生した。公共施設も利根川に架かる五料橋を始め、河川やため池、建築物など多くの施設が被害を受けた。あれから10年。建設業が果たす役割の重要性はさらに増してきているが、一方で担い手不足や高齢化など厳しい状況は続いている。建設業をとりまく状況の変化を追った。

業界からは企業の体力低下について懸念の声があがる。業者数は1999年度のピーク時約1万1000者から減少。震災のあった2011年度ごろからは横ばいの傾向も見えてきたが、19年度には約7400者。高齢化についても全国平均と比較して高い状況となっている。行政・業界の双方で協力して対策を進めており、減少のペースは落ち着いてきているものの、改善への努力がいまも続いている状況。県全体で大きな被害が発生した時の対応が困難な状況になるのではとの意見も出されている。

行政は防災に対する意識を高め、施策を展開してきた。震災後に策定した県土整備プラン2013-2022には、震災を教訓として、避難体制整備といったソフト対策も合わせて進めている。20年12月に策定した新しい県土整備プランは19年の台風19号を踏まえ、水害対策に重点を向けた対策を多く盛り込み、災害に対するリスクから県民を守る体制を整えている。

東日本大震災により建設業の役割が見直され始め、期待を寄せられているとの声もある。そうした期待に応えるべく、業界自身も変化し続けている。

群馬県建設業協会は、震災後にリアルタイムで情報発信するぐんケン見張るくんの運用を開始。わかりやすく、確度の高い情報をSNSで伝えている。2月13日に福島県沖で発生した地震の際には、独自にパトロールを実施。SNSを通じて県民に情報を発信しており、ハード対策だけではない建設業ならではの安全・安心を届けている。

東日本大震災から10年。その間も地震だけでなく、台風や豪雪、噴火など多くの災害が日本を襲い、安全・安心に対する要望はさらに高まっている。そして、その要望に応えるために必要なのは災害に強いインフラ整備であり、行政と建設業の連携が重要。10年かけて見直されてきた、建設業が果たす役割を今後も継続していくためにも、必要な予算の継続的・安定的な配分による県民の安全・安心確保と建設業の健全な成長が欠かせない。

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