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知事選挙立候補者に聞く/建設事業に関する公約や考えなど

2021/03/18 日刊建設タイムズ

 過去最多の立候補者8人が争う第21回千葉県知事選挙が、21日に投開票を迎える。向こう4年間の県政の舵取り役が決まるだけに、県内の建設業界にとっても重大な局面と言える。

 そこで、千葉県の建設事業に関する公約や考え、県内の建設業に対する期待などを立候補者に投げ掛けたところ、元・千葉市長で立憲民主党県議団や千葉維新の会などから支持を受ける熊谷俊人氏、ベーシックインカム党の後藤輝樹氏、日本共産党推薦の金光理恵氏、元・県議で自由民主党推薦の関政幸氏から回答があった。

 

熊谷 俊人(くまがい としひと)氏/地元建設業育成等で「防災県千葉」確立

 

<年齢>

 43歳

<党派等>

 無所属(立憲民主党県議団・千葉維新の会・国民民主党県連・社会民主党県連・民主の風千葉・市民ネットワーク千葉県支持)

<職業(備考)>

 無職(元・千葉市長)

<住所>

 千葉市中央区

【千葉県の建設事業に関する公約や考え】

 県民の命とくらしを守ることは最も大事な県政のテーマです。激甚化する風水害や巨大地震等の災害に強い「防災県千葉」を確立します。具体的には、治水・治山対策をはじめとした防災・減災対策の強化、道路や電力等のライフラインの予防保全的老朽化対策等を推進します。さらに、地域防災を担う地元建設業の育成を図るとともに、ICTを活用した初動体制を確立します。

 また、民間投資を引き出し、雇用を創出するため、成田空港を核とする国際産業拠点の整備や、圏央道・長生グリーンライン・銚子連絡道路などの道路環境整備を進める等、半島性を克服し、県内各地を活性化する交通インフラの整備を推進し、東京に依存しない千葉経済圏を確立します。

【千葉県の建設業に対する期待】

 何よりもまず、気候危機の状況にあって、さまざまな災害から県民の命を守るための防災・減災、さらには1日も早い復旧に関わる技術や工法の開発、行政・警察等と連携した「オール千葉」での、初動段階における連携協力を含む災害対応をお願いしたいと思います。

 また、限られた人・技術・資材・技術力で平時から社会資本の整備や維持・管理を進めるために、地域建設業・測量設計企業間の連携強化を進めていただきたい。

 このほか、生物多様性、里山の保全、危機管理対策に資する技術や工法の開発・提案や、サンブスギのような県内産資材を活用した地産地消を促進する工法開発など、千葉発の新たな価値観を建設という分野で発揮していただきたいと考えます。

【意気込み等】

 建設業・鉱業の就労人口は年々減少し、2017年の493万人から40年には288万人になると予測されています。

 平常時には、千葉県活性化のための各種の建設事業を効率的かつ迅速に進めるために、また、災害時においてはいち早く被災現場に駆け付け作業に当たる地元建設業の育成と相互連携の強化を進めます。

 災害発生時の初動体制の確立においては、知事の強いリーダシップに合わせ、各市町村・警察・消防・ライフライン管理者・建設企業等が連携し、ICTを活用した迅速かつ正確な情報収集、情報発信は必要不可欠であり、早急な体制確立を図ります。

 また、迅速な災害復旧の基礎となる地籍調査を推進してまいります。

 

後藤 輝樹(ごとう てるき)氏/「オール千葉」でインフラ整備

 

<年齢>

 38歳

<党派等>

 ベーシックインカム党

<職業(備考)>

 自営業

<住所>

 東京都葛飾区

【千葉県の建設事業に関する公約や考え】

 開発が進んでいる県北西地域では、渋滞等が発生してるため、拡幅や車線の増設を行います。

 また、電車の路線拡張や運行本数増加に取り組みます。

 房総半島に1万台のAI自動運転車を導入することで、過疎地域を活性化させます。それに伴い、狭あい道路を拡幅するとともに、歩行者の安全を考え、歩道を整備します。

 冬暖かく、夏涼しい房総半島の観光地を「熱海化」し、活性化させます。

 駅から3km以上離れた地域に住む人などに対し、駅から500m以内への引っ越しを促すような施策を展開し、コンパクトシティを目指します。

 高度下水処理システムを可能な限り構築し、きれいな水質の川や海を実現します。

 放置された空き家は積極的に解体し、街並みを整備します。

【千葉県の建設業に対する期待】

 幕張新都心や船橋、東京ディズニーランドなど開発が進んでいるエリアは活性化していますが、県全体で考えると、台風災害などがあることも含めてインフラが十分に整っていないように感じます。

 したがって、東京近郊の都市エリアを開発するだけでなく、房総半島全体のインフラを整えるという大役が、建設業には期待されていると言えます。

 しかし、それを実行・実現するのは、民間の力だけでは不十分で、「官民学オール千葉県」で臨む姿勢が望まれます。

 その旗振り役を担うため、県知事としてグランドデザインを描き、大局を見て、民間の力、大学の研究開発の力をお借りし、また県民の皆さまにも可能な限り満足していただけるよう、スピードと決断力を持って実行・実現していきます。

【意気込み等】

 「箱物行政」と批判されることもありますが、道路や橋などの修繕・修理は日本社会にとって必要不可欠な事です。県知事として、老朽化が進んだ施設や耐震性が低い施設の整備・修繕に積極的に取り組んでいきます。

 予算を削ってしまうことは、台風や地震などの災害において被害が拡大してしまう懸念があるため、そうならないよう、しっかりとインフラを整備していく方針です。

 

金光 理恵(かなみつ りえ)氏/生活密着型の公共事業を

 

<年齢>

 57歳

<党派等>

 無所属(日本共産党推薦)

<職業(備考)>

 政党職員(元・予備校講師)

<住所>

 船橋市薬円台

【千葉県の建設事業に関する公約や考え】

森田県政のもと、「北千葉道路建設」や、行き詰まっている「つくばエクスプレス沿線開発」「金田西区画整理事業」の巨大事業に2019年度、およそ200億円をつぎ込むとともに、今後莫大な費用を要する「北千葉道路市川・鎌ケ谷間」「第二湾岸道路建設」も断念していません。

 このような不要不急な大型公共事業は先送り・凍結・中止など抜本見直しを図るべきと考えます。

 そして、県民生活に密着型の公共事業(県道の整備、老朽化した橋梁の改修、公共施設の耐震化、住宅リフォーム助成制度、内水氾濫予防事業など)を重視。その仕事を地元の中小建設事業者にお願いするなどで、災害に強い安全なまちづくりとともに、地域の建設業者の活性化を図りたいと考えます。

【千葉県の建設業に対する期待】

建設業を営む方々、建設業で働く皆さんが仕事に誇りを感じ、希望の持てる建設産業に発展することをご祈念・ご期待いたします。

とりわけ、公共関係の仕事の受注企業への適正な建設費の支払いと、そこで働く建設労働者に適正な賃金の支払いを定める「公契約条例」(すでに野田市と我孫子市が条例化)を千葉県をはじめ県内市町村全てに広げたいと考えています。

 もしも、一致できるのであれば、ご一緒に取り組みたいと考えます。

【意気込み等】

 新型コロナウイルス感染症の地球規模での拡大と異常気象の最大の教訓は、新自由主義に基づく大規模な自然破壊と環境破壊にあります。国連が提唱する「グローバルからローカルへ」「大規模から小規模へ」の転換が必要です。

 千葉県は安全な農畜産物・魚介類・林業の宝庫ですし、再生可能自然エネルギーの宝庫です。地域循環型・持続可能性でも魅力いっぱいです。

 「地域の繁栄なくして千葉県・日本の繁栄はない」の気持ちで県政を担いたいと決意しております。

 

関 政幸(せき まさゆき)氏/県議の経験生かし道路網整備等

 

<年齢>

 41歳

<党派等>

 無所属(自由民主党推薦)

<職業(備考)>

 弁護士(元・県議)

<住所>

 千葉市緑区

【千葉県の建設事業に関する公約や考え】

 知事として取り組む大きな「4つのチャレンジ」の最初の項目に、「交通と5G等の通信ネットワーク整備」を掲げています。具体的には、圏央道大栄~横芝間の早期開通、北千葉道路、銚子連絡道路、長生グリーンライン、国道356号バイパスなどの幹線道路網の整備を促進するとともに、第二東京湾岸道路、千葉北西連絡道路の整備を着実に進め、県内のネットワークアクセスの利便性向上を図るものです。

 成田空港周辺においても、国に働きかけを強めて国家戦略特区を利用した土地利用規制の緩和を実現し、先端技術開発の拠点を作ります。

 もちろん、港湾岸壁などの耐震補強をはじめとした、老朽化した既存橋梁・トンネル等の長寿命化や補修にも取り組んでいきます。

【千葉県の建設業に対する期待】

 当然ながら、政策の実現には建設業の皆さまの協力が不可欠であり、大いに期待しています。

 また、建設業の皆さまは、県との災害協定に基づき、災害発生時には危険を顧みず災害応急業務に率先して取り組む、非常に頼りになる存在です。実際、おととしに台風15号、台風19号が千葉県を襲った際にも、倒木撤去や屋根へのブルーシート設置、ポンプによる排水作業、自衛隊との連携作業など、さまざまな応急復旧作業に対応していただきました。千葉県への愛、郷土愛なくしては成し得ないことであり、献身的なご協力に改めて感謝申し上げます。

 平時においては県を発展させ、有事においては県土を守る。

 千葉県の発展に欠くべからざるもの、それが建設業だと考えています。

【意気込み等】

 千葉県は、自然や都市部、空港や港などあらゆる環境と豊かな食に恵まれ、さまざまな生活や仕事のニーズに応えられる、魅力的な県です。千葉県をもっと発展させ、夢にチャレンジできる日本一の県にしたいと思っています。

 私は今までいろいろ壁にぶつかってきましたが、「できないではなく、何ができるか」の精神で取り組み、今回も、愛する千葉県のために何ができるかを考えて知事選挙への挑戦を決めました。

 県の課題を熟知した県議の経験、条例(7本)を作成・制定してきた政策立案能力、県議会はもちろん、国や市町村とも連携できる自民党のネットワーク、そしてそれらを総合した実現力こそが私の強みです。

 引き続き、皆さまのご支援をよろしくお願いします。

熊谷俊人氏 後藤輝樹氏 金光理恵氏 関政幸氏

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