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埼玉県県土整備部

県土整備部が土砂災害対策の有識者委員会開く

2021/03/24 埼玉建設新聞

 県土整備部は、埼玉県の土砂災害対策に関する有識者委員会(長田昌彦委員長・埼玉大学大学院理工学研究科)をWEB開催した。県砂防関係施設整備計画案について審議が行われた。優先度評価値を算出し、各区域の各種保全対象有無により所定の式を用いて優先度評価値を基に実施するという方向性を確認した。

 冒頭、長田委員長は「自然現象を防ぐことはできないが、自然災害とすることは関わることができる。活発な議論をいただきたい」と述べた。

 県内では近年、人命に関わる土砂災害は発生していないが、多くの土砂災害警戒区域などを抱えており県民の人命と財産を守るため、土砂災害防止施設整備や警戒避難体制充実など総合的な対策を推進する必要がある。 計画は土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域(5225区域)の指定が完了し、災害の激甚化、人口減少・高齢化など社会経済情勢変化を受けて作成する。改めて整備の優先順位と計画期間を定めることで目標の明確化を図るほか、予算要求(新規事業化箇所)の根拠資料とし、設計ストックや予算・人員確保に活用する。また事業に関する資料を別冊付録としてオールインワン化し、職員の参考資料とする。

 要整備箇所(土砂災害危険箇所ベース)の整備率は全体では13・3%。整備は危険箇所ベースから警戒区域ベースに変更する。砂防事業費は近年では年10~15億円程度で推移しており、砂防堰堤などの施設は年1~5カ所程度、年1~2カ所程度が概成している状況。

 土砂災害対策の現状と課題に①気候変動による豪雨頻度の増加、土砂災害の激甚化②土砂災害警戒区域内に要配慮者利用施設、避難所、災害時に重要な施設が立地③中山間地域における人口減少、高齢化④鉄道・防災上重要な道路の分断、孤立化集落の発生--がある。

 砂防関係施設の整備の考え方としては、階層を3つに分け、第1階層として特別警戒区域(レッド)、同(イエロー)、第2階層で避難所、要配慮者利用施設、公共施設、公共的建物、人家を挙げている。優先度評価値を算出し、各区域の各種保全対象の有無により所定の式を用いて優先度評価値をもとに実施する。

 警戒避難体制の整備の考え方としては、平時は日ごろから土地の持つ土砂災害の危険性や避難行動の重要性を周知し、住民の防災意識を向上させ、自主警戒避難を促す。出水時には土砂災害の危険度が高まった場合に住民などの警戒避難を促すための情報発信を行う。


【写真=WEB方式で開催した有識者委員会】

WEB方式で開催した有識者委員会

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