国土交通省日光砂防事務所は、今年度事業概要を公表した。事業費は前年度比２１・５％減の３２億２６００万円。内訳は直轄砂防事業が５億６４００万円（前年度比４４・６％減）、直轄火山砂防事業が２６億６１００万円（１３・９％減）。日光市街地や世界遺産を土砂災害から守る稲荷川山腹工、華厳上流砂防堰堤、災害時に山間部地域の孤立を防ぐ大事沢第５砂防堰堤、高徳地区砂防堰堤群の整備を重点的に進める。

　今年度の事業箇所は１４カ所。内訳は大谷川流域が６カ所、鬼怒川本川上流域が７カ所、男鹿川流域が１カ所。工種は砂防堰堤工７カ所、山腹工５カ所、床固工２カ所。

　大谷川の上流部は火山地帯の脆弱な地質で急峻な地形。大規模崩壊地を抱える渓流で土砂流出を抑制する砂防堰堤や山腹工の整備を促進し、市街地や観光資源、重要交通網を保全する。

　鬼怒川本川上流部も多数の崩壊地が存在。土砂流出による集落の孤立を防ぐ砂防堰堤や山腹工の整備を実施。大谷川流域とともに老朽化した砂防堰堤の改築なども行い、施設の機能を維持する。１５年９月の豪雨災害で不安定土砂や流木が堆積した男鹿川流域は芹沢地区の床固群を整備する。

　主な地区では、世界遺産の上流に位置する稲荷川山腹工整備で山腹工の工事を促進し、華厳上流砂防堰堤整備では砂防堰堤工事を第３四半期に発注。

　１９９８年に中流部で河道閉塞と天然ダム決壊が発生した大事沢では、１７年度から施工している第５砂防堰堤の整備を継続。下流の主要地方道川俣温泉川治線を保全し、物流・交流ネットワークを確保するとともに災害時の地域の孤立を防ぐ。

　鬼怒川温泉に近い高徳地区砂防堰堤群の整備では中町上沢の砂防堰堤工事を第１四半期に公告。これまで小佐越沢などで堰堤を整備しており、土砂災害から人家や国道１２１号を保全する。

　このほか、大谷川床固群の町谷第３床固改築、芹沼床固改築、荊沢床固改築工事や、野門沢上流左岸崩壊地対策（野門）、ワミ沢左岸崩壊地対策工事（上栗山）を第２四半期に発注。

　また、大谷川流域施設改築事業の小米平上流、早川谷上流の各砂防堰堤改築工事（日光）などを第２四半期に入札。稲荷川工事用道路工事（同）を第１四半期に公告する。