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栃木県企業局

県企業局、足尾発電所水圧管補強、耐震性照査、土質調査委託

2021/05/08 日本工業経済新聞(栃木版)

 県企業局は、足尾発電所水圧鉄管耐震補強事業(日光市足尾町)に着手する。事業期間は2021~24年度の4カ年。初年度は月内に総合評価型指名競争入札の耐震性能詳細照査とともに、通常の指名競争入札で土質調査を委託する。22年度は詳細設計を委託し、23~24年度で施工する。

 16~19年度にかけ、企業局は足尾をはじめ川治第1(日光市川治温泉川治)、風見(塩谷町風見山田)、小網(日光市藤原)の4発電所全体を耐震診断。その結果、足尾発電所水圧鉄管の耐震性能不足が判明。初年度は設計に必要なデータを収集する。

 21年度予算額は5390万円。耐震性能詳細照査はレベル2地震動(現在から将来にわたり地区内で想定される最大級の地震動)に水圧鉄管が耐えられるかを調査。土質調査は水圧鉄管築造当時のボーリング調査データが不十分なため、追加調査で内容を補う。

 次年度の詳細設計は水圧鉄管を鉄アンカーで補強し、レベル2地震動に構造物が耐えられるよう補強。初年度の調査結果を基にアンカー本数、最良な工法を導く。アセットマネジメントによる耐震化となり、水力発電所の業務継続計画(BCP)を万全に整える。

 足尾発電所は1982年10月に着工し、85年10月に運転を開始。神子内、渡良瀬、餅ケ瀬の3取水堰、滝沢、畑沢、庚申川の水を庚申ダムで貯留。毎秒最大12・5立方mの水は落差95mの勢いで発電機を運転し、最大1万kWを発電する。

 水圧鉄管は内径1・4~2・2m、延長210・6m。発電後は延長936・3mの放水路を経て群馬県沢入発電所取水堰上流地点で渡良瀬川に戻す。93年から今市発電管理事務所で遠方監視制御する。足尾銅山閉鎖に伴う旧足尾町の振興策で建設された。

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