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栃木県鹿沼市

鹿沼市、安全安心な都市基盤構築、第8次総合計画基本構想案

2021/05/20 日本工業経済新聞(栃木版)

 鹿沼市は、第8次総合計画序論・基本構想案をまとめた。都市基盤・危機管理では大災害から市民の生命と財産を守るため「強さ」と「しなやかさ」を持つ安全安心な都市基盤・地域・経済社会の構築を目指す。現行の都市基盤を活用しつつ、コンパクトシティ・プラス・ネットワークのまちづくりを推進する。

 市最上位計画となる総合計画基本構想は、2022~31年度の10年間を展望。22~26年度の5カ年間の具体的な施策を盛り込む「基本計画」、単年度予算と連動した1年間の「実施計画」の3層で構成。基本構想はまちづくりの方向性や施策大綱を示す。

 政策の柱に①子育て・教育(すこやか)②健康・福祉(にこやか)③産業・文化(にぎやか)④自然環境(きよらか)⑤都市基盤・危機管理(しなやか)⑥市民協働(なごやかさ)⑦行政経営(たくましさ)-の7つを設定した。

 将来都市像は「花と緑と清流のまち 笑顔あふれるやさしいまち」に掲げた。政策の柱を花に見立て、すこやか、にこやか、にぎやか、きよらか、しなやかを5枚の花びら、なごやかさ、たくましさは土に表現。土の部分は5枚の花びらを支える基礎となる。

 市民協働(なごやかさ)は自助、共助、公助のあるべき姿を模索。地域全体が協働し、各政策を実行。どこにでも居場所や活躍する機会があり、全世代活躍型社会を形成。行政だけでなく多様な主体が継続的に活動し、市民サービスを維持し地域課題を解決する。

 行政経営(たくましさ)は市民から信頼され、各政策実現の基軸の役割を果たしながら持続可能なまちを市民と共創。事務事業の見直し、公共施設の新設・統廃合、近隣自治体との広域連携を通じた行政のスリム化、行財政改革に取り組んでいく。

 産業・文化(にぎやか)は第1~3次産業のバランスの取れた発展と新たなまちの魅力創出に努め、人が行き交うまちづくりを実現。商工業は最新技術導入で労働生産性を高めるとともに、起業支援による産業創出や働き方改革による潜在的な労働力を掘り起こす。

 高齢化と後継者不足が深刻な農林業にはスマート農林業を取り入れ、高付加価値化、省コスト化。産業の将来性と魅力を取り戻し、稼げる農林業に再生する。市の7割は森林で覆われており、市産出材は森林認証を取得。農業はイチゴをはじめ園芸特産分野が強い。

 現行の第7次計画「チャレンジ15(イチゴ)プロジェクト」は17~21年度で計画期間の5カ年間が終了。第6次計画(12~21年度)は10年間の計画。第7次計画は少子高齢化の加速化や時代のニーズに対応するため、5年早めて策定した経緯がある。

 20~21年度の2カ年をかけて第8次計画を練り上げる。多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症後といった社会経済状況を多面的に分析し、潜在的な市の課題を洗い出す。持続可能なまちづくりの方向性を見いだし、実効性のある計画とする。

 市議会や市内各種団体の代表らで構成する「総合計画審議会」で内容を論議。「何をやるか」ではなく「どのような変化を目指すか」の視点に立ち、市民全員参加型のまちの経営戦略を導く。パブリックコメントを経て22年2月には成案を仕上げる。

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