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(社)埼玉県建設業協会青年経営者部会

吉川祐介青経部会長「知識交換で高め合う」

2021/06/01 埼玉建設新聞

 埼玉県建設業協会青年経営者部会の部会長に就任した吉川祐介氏(金杉建設社長)は「青経部会のフロンティア精神をしっかり引き継いでやっていきたい」と抱負を述べる。会員79人をまとめ、DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革、海外進出などについて、次世代の経営者が「知識を交換してお互いを高め合い、埼玉の地域建設業の経営力、技術力が向上するような取り組みを考え、実行していきたい」と力を込める。

 約20年間、部会で活動してきた。「各企業が発注者から信頼を得ることは重要。併せて業界全体が信頼を得る必要がある。会員同士が本音の話をして悩みを打ち明け合って、本当の仲間になり、サポートし合う。信頼できる本当の仲間にはノウハウは隠さなない」と言い切る。

 金杉建設はICTやDXで高い評価を得ており、「建設会社は機械を持っていた方が良い」と持論を唱える。民間企業が設備投資をする理由は「当然、リターンが見込まれるから」だ。一般的に設備投資をすれば「人件費が減る、より大きな仕事をできるようになる、利益率が上がる」が、近年は「公共事業が急激に減らされたときの負のイメージが残っていて、慎重な経営者が多い」のが実情。ただ、ここに来て潮目が変わりつつあることも感じており「ものづくり補助金などを活用して3Dスキャナーやマシンコントロールなどを購入する会員が増えてきた」。

 ICT建機について、発注者指定などの理由から、必要に迫られてリースしている場合は「定められた使い方しかしない」が、「自社保有して会社に最先端のモノがあれば、技術者は使いたくなるし、効率的にしようと考える。そこにプラスアルファの考え方が生まれてくる」と実感している。こうした循環にDXは連動するとみており、「ICTなどを使って、どうやれば効率的に、よりうまく回していけるか」を考え、実現していくことがDXのポイントだと捉えている。

 5月21日の総会では部会の規約が改正され、会員の制限年齢(定年)を50歳から53歳へと延長した。会員数の維持、増加の具体策となる。「50歳に近い年齢の会員が非常に多い。いわゆる団塊ジュニア世代(1971から74年生まれ)が抜けたら大変なことになるという危機感は、以前から指摘されていた」という。

 対応するためにここ10年ほど会員拡大を進めていたが、20年度入会者は「例年に比べると非常に少ない3人にとどまった」。コロナ禍で「積極的な会員拡大の活動が難しい」ことが最大の要因となっている。

 「1社1名」の枠も撤廃した。親子で入会してもらうことを想定しているほか、兄弟(姉妹)も念頭に置いている。例えば「自分が53歳で卒業したら50歳の弟を入れよう」というケースの場合、弟は在籍期間が短くなってしまうという課題があった。また若手登用の観点から「50歳以上の幹事就任は原則として行わない」ことをルール化しているため、部会での中心的な役割を担えなくなってしまう。人数制限の撤廃により、こうした課題を一気に解決できる。

 さらに、新たなポストとして参与を新設した。副部会長経験者を充て、参与は役員会で意見を述べることができる。「若手に副部会長を引き受けてもらい組織を活性化させつつ、豊富な知識、経験を持っていて頼りになる参与にもアドバイスをいただきたい」と狙いを語った。


【略歴】

 1995年3月、日本大学生産工学部土木工学科卒。同年4月、株木建設入社。その後、2000年に日本大学大学院生産工学研究科土木工学専攻博士前期課程を修了。同年4月金杉建設入社。専務取締役を経て20年10月、社長就任。48歳。

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