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都市のリニューアル推進/神谷俊一市長就任インタビュー/熊谷県政との連携強化へ

2021/06/08 日刊建設タイムズ

 千葉市は2021年、市制100周年の節目を迎えた。その中で行われた、3月21日の千葉市長選挙で、過去最多となる約20万票を獲得して初当選を果たした神谷俊一氏がインタビューに応じた。千葉市について「都市のリニューアルの時期を迎えている」とし、千葉マリンスタジアムの整備、蘇我駅東口周辺や稲毛駅東口周辺の再開発事業、新市民会館の整備、加曽利貝塚新博物館の整備、教育施設のトイレ洋式化などに取り組むとした。また、熊谷県政と連携し、幕張新都心の将来像を整理する。


 ――就任にあたっての抱負・展望をお願いします。

 神谷 すぐにやらなければいけないことは、新型コロナウイルス感染症対策です。特に、ワクチン接種体制の構築が求められています。防災に関しては、これまでの経験を生かし、さらに素早く初動対応ができる組織にしていきたいと考えています。

 これまで、千葉市は前例踏襲ではなく、社会の変化に応じて必要な政策を打ち出してきましたので、これを継続していきます。国、県の規則に従うだけでは真の活性化にはつながらない場合もあります。コロナによってさまざまな変化が生じる中で、行政に求められることも変わっていきます。次の時代に求められるトレンドを創っていく役割を果たしていきたいと考えています。

 また、都市のリニューアルの時期を迎えています。公共施設を40年、50年と使っていく中で、街も大きく変わりました。街の状況に合わせた施設配置を改めて検討し、市全体のリニューアルを図っていきます。千葉駅周辺では西口、東口とも再開発事業が進んでいますので、公共施設についても建て替えを進めていきます。


 ――幕張新都心の将来像のあり方について聞かせてください。

 神谷 幕張新都心について、将来像を改めて整理したいと考えています。その核となるのが千葉マリンスタジアムです。立地上、潮風に晒されていることもあり、老朽化が進んでいます。これからも改修を繰り返すのか、新しい場所に建て替えるのか、建て替える場合はどこを建設用地とするのかなどを検討する必要があります。市が単独で造ると限られた施設規模・機能になります。県や、千葉ロッテマリーンズをはじめとする民間企業にも議論に参加していただき、市民・県民が納得する新しいマリンスタジアムのあり方を4年間で整理します。回遊性の向上も期待されていますので、幕張新駅に近く、利便性が高いというのも重要な点です。


 ――蘇我駅東口周辺や稲毛駅東口周辺のまちづくりについてはいかがでしょうか。

 神谷 それぞれの駅が造られてから時間が経過し、当時想定していた利用形態よりも街は大きく発展しました。とりわけ、駅前広場に関しては手狭な状況になっています。再開発事業によりリニューアルを行い、さらに使いやすい拠点となるよう積極的な支援を行っていきます。

 再開発事業にあたっては、地権者の意向を伺うとともに、周辺の方々の理解を得て、開発を進めていこうという機運の醸成が必要となります。


 ――新市民会館、加曽利貝塚新博物館の整備についてはいかがでしょうか。

 神谷 市民会館については耐震補強など行ってきましたが、給排水設備を中心に老朽化が進行しているほか、現在の音響技術に対応したものになっていません。JR千葉支社跡地の開発と一体的に整備することも候補の一つとして、具体的な建設場所や機能面などを検討するとともに、関係者との協議を進めています。

 加曽利貝塚は市の歴史を語る上で欠かせない史跡です。特別史跡の中に博物館があるというのは、保存の観点で課題があることから、再整備を行いたいと考えています。再整備にあたっては、展示機能だけでなく学術的な研究を行う機能の配置も想定し、多くの人が訪れる公園的な広がりをもった施設を目指します。


 ――小中学校へのエアコン設置およびトイレの改修についてお願いします。

 神谷 普通教室へのエアコンの設置が完了したことから、特別教室についても急務としています。また、快適で使いやすい学びの環境を実現するため、トイレの洋式化・乾式化を4年間で計画的に進めていきます。


 ――熊谷県政との連携についてお聞かせください。

 神谷 県と市の関係の再構築は極めて重要であると考えています。全国の政令指定都市の中でも、千葉市は県が関与している部分が多くありますので、改めて役割分担を整理し、長年の課題に結論を出していきたいと思います。

 具体的には、千葉マリンスタジアムの整備、消防ヘリコプターの共同運用、県水道と市水道の統合の実現を目指すほか、市内の県立公園や港湾緑地の市による維持管理への切り替えなど、市が市民に直接行政サービスを行える体制づくりを進めていきます。


――市内の建設業への期待をお聞かせください。

 神谷 建設業界の方々とは、これまでも一緒にまちづくりに取り組ませていただきました。特に災害時においては、復旧に向けて動くパートナーであり、有事の際の役割分担を明確にしていきたいと考えています。また、さまざま工事現場において、業界全体のSDGsに向けた必要な取り組みを進めています。

 市が目指す将来像を実現するため、意見交換を行い、ともに取り組んでいきたいと思います。

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