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発生土リサイクルで県内企業が存在感

2021/06/18 埼玉建設新聞

 4月に発足した全国建設発生土リサイクル協会(赤坂泰子理事長)の今後の活動で、県内の企業・団体が重要な役割を担う。協会発足の最大の意義となった、土質改良の品質基準・プラント認証の制度創設に向け、発生土改良の取り組みで先行する県内企業らの働きに大きな期待がかかるからだ。9月上旬には、協会側が検討委員会の初会合を開く。発生土リサイクルの普及拡大を目指す全国組織が、地域発のノウハウを取り入れながら本格始動する。

 建設発生土には、国の発生土利用基準があるものの、コンクリート副産物から造る再生骨材などにみられるような、製造プラントの規制・管理につながる日本産業規格(JIS)までは制定されていない。国の発生土利用基準自体、所定の土質区分に応じた標準用途を示したもので、発生土改良の際の品質を担保するルールとは異なっている。

 佐藤孝治事務局長(須合建設常務取締役)によると「発生土の土質改良で独自の品質基準・プラント認定に取り組む自治体はあるが、事例はまだ少ない」という。

 そのケースの一つが埼玉県。11日の同協会発足式には、県建設管理課の職員が出席した。県は協会の構成員ではないが、担当者は「協力の要請があれば、対応を検討したい」と前向きな姿勢を示す。

 県は2005年度から、発生土を再利用した石灰改良土の規格・単価を土木工事設計単価表に組み入れている。対応する認定プラントについては、県建設発生土リサイクル協会が公表。こうしたノウハウを携え、全国組織には県建設発生土リサイクル協会をはじめ、経験豊富な県内企業が名を連ねることになった。

 全国協会側が今後創設する品質基準・認証制度では、地域性などにも配慮した枠組み構築を目指すとみられる。そのための実動チームに相当する検討委(品質・技術部会の下部組織)を9月上旬に開く方向だ。技術顧問として、勝見武京都大大学院地球環境学堂・学舎長が加わる。

 自治体発の発生土リサイクルに関しては、県のほか、例えば愛知県豊田市も土質改良プラントの認定基準を運用中。協会側は初会合に備え、国内の関連事例などを本格的に調査・整理しておくとみられる。オブザーバーとして声を掛ける関係機関の選定も今後行う。

 土質改良とプラント認証双方の民間基準を確立するのが、協会側の当面の目標。ただ、国の「建設リサイクル推進計画2020」では、発生土の移動・受け入れの実態を把握するトレーサビリティーの運用も課題に上がる。ICTを活用したシステム試行は、国土交通省を中心に展開される。協会側も必要に応じた協力の準備は怠らない構えだ。

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