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県が山梨市の農道38号事業化へ

2021/06/24 山梨建設新聞

 山梨市の八幡、岩手両地区を結ぶ農道38号線の未施工区間について、県が来年度の事業化に向け調整を進めていることが分かった。山梨市の高木晴雄市長が6月市議会で明らかにした。本年度の県公共事業評価委で実施の可否について審議し、順調にいけば来年度から測量・設計などに着手。2023年度着工を目指す。

 同農道は果樹園などが広がる八幡、岩手両地区を結ぶ農道。東側は同市牧丘町隼地内の国道140号、西側は甲府盆地北を走る「フルーツライン」につながる。1999年度東側から着工し、2004年度までに約1・6㎞が完成した。しかしその先の整備について地権者の了承が得られないなどの理由で、事業はいったん終了。直線距離にして約1㎞が未整備のまま残っている。

 山梨市農林課によると、市は県に整備要望を行うにあたり概略ルートを作成。調査・設計をサンポーが請け負った。整備延長1490m、幅員は7m。トンネルや橋などの大型構造物を極力整備しないで済むことを念頭にルートを選定した。そのため事業費の見込み額は10億円に抑えたが、「県は10億円では難しいとみている」(同課担当)。

 未施工区間には山があり、かつてはトンネルを建設する案もあった。沿線の農業者は「(事業着手した)当時はトンネルを掘るという話だった。だが一部の地権者が反対したことと、多額の費用がかかるためその計画はなくなったと聞いている。今回の整備について何度も市から説明を受けたが、やはりトンネルは造らないようだ」と話した。

 開会中の山梨市議会6月定例会では、飯島力男議員が同線整備について質問。JAいわで支所観光部の解散により「岩手地区から八幡総合共選所へ出荷するための大変重要なルートとなる」と同線の重要性を訴え、事業の見通しについて聞いた。

 高木市長は「事業主体は山梨県となり、本年度公共事業評価を受け、令和4年度には事業採択となる予定。この採択により事業着手となるが、まずは測量・設計等を行うとともに関係地権者への説明を行う。令和5年の秋以降に工事着手となる計画であり、整備期間はおおむね8年間を想定している」と答えた。

 県耕地課担当者は来年度の事業化を目指し「市と連携して調査を行っている」と話した。


【写真=現場周辺は急峻な地形】

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