埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は設計業界の将来を担う人材育成を後押しするため、本年度も卒業設計コンクールを開催した。第21回を数えた今回は8大学11学部から総勢36人が集い、学びの集大成を競い合った。審査の結果、三郷市の栄調整池を舞台にした日本工業大学工学部の神谷政光さん作「ヒトダマリ 調整池を活用した立体公園」が栄えある県知事賞に選ばれた。
主催者が選定する埼玉建築設計監理協会賞は、「記憶の欠片をそっとすくう-人間魚雷「回天」の歴史を巡る出会いと別れの島-」を制作した東洋大学ライフデザイン学部の磯永涼香さんに贈られた。
発表を控えた学生たちに田中会長は「素晴らしい経験、まさに青春の1ページになるだろう」と期待を込めた。審査委員長を務める東京電機大学の岩城和哉教授はグローバリズムを例に「重要性を増す『建築と場所』の関係を前面に押し出す」点を挙げたほか「県知事賞を贈るところなど、数ある卒業設計コンクールの中でも特徴的」と開催の意義を評した。
審査当日、感染症対策を講じた会場には審査員や来賓が来場。プレゼンテーションに臨む学生たちは、自宅などからインターネットを通じ、会場のスクリーンに資料を写して発表した。
発表の概要は次のとおり。
▽受賞者(大学名)=作品名――の順(敬称略)
【県知事賞】
▽神谷政光(日本工業大学)=ヒトダマリ 調整池を活用した立体公園
【準埼玉賞】
▽荻野汐香(日本大学)=新菓子屋横丁徒弟制
【埼玉建築設計監理協会賞】
▽磯永涼香(東洋大学)=記憶の欠片をそっとすくう-人間魚雷「回天」の歴史を巡る出会いと別れの島-
【準埼玉建築設計監理協会賞】
▽鶴巻愛瑠(日本大学)=もっけみち、みっけ。-商店街に浸透し、息づく暮らし。-
【特別審査員賞】
▽細谷奈央(芝浦工業大学)=新たな文化を継承していく〝がーでんストリート″-商店街を核とした大宮一番街の再生デザイン-
▽井上了太(日本大学)=有終の塵
▽牧野なな子(日本工業大学)=つながるバス停-地域を映す寄り処-
【埼玉県住宅供給公社賞】
▽外山真永(工学院大学)=生きられた集住体を目指して-大規模住宅団地改修計画案-
【さいたま住宅検査センター賞】
▽向井菜萌(工学院大学)=空き家にならない家を目指して
【JIA埼玉最優秀賞】
▽牧野なな子(日本工業大学)=つながるバス停-地域を映す寄り処-
【JIA埼玉優秀賞】
▽喜多秀長(ものつくり大学)=「己の空間」の形成-折り紙建築をベースとした小空間の展開-
▽近藤亘(東洋大学)=弔う土地-人と地をつなぐ葬祭場-
【総合資格学院賞】
▽清水海斗(東洋大学)=市役所の再編成-地域密着型市役所-
▽葛西由樹(芝浦工業大学)=Re:Life-廃校活用による保護動物の殺処分問題の解決-
【日建学院賞】
▽坪倉尚矢(日本工業大学)=10平方メートルからはじめる町おこし 駐車スペース跡でつくる趣味の溢れ出した住宅地の通り
▽白澤賢(ものつくり大学)=Syimbiosis-猫と暮らすシェアハウス-