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栃木県下野市

下野市天平の丘公園再整備、平地林間伐、短長期で段階整備、8月にも市道2-22号線設計

2021/07/07 日本工業経済新聞(栃木版)

 下野市は、天平の丘公園(国分寺993-1)の再整備基本計画を策定した。総面積約27・4haの広大な広さを有することから優先的な対応箇所を短期(5年)、相応の期間が必要な箇所を長期(10年以内)に区分。維持管理を継続しつつ、段階的にリノベーションを図る。今年度は8月をめどに花広場南側の市道2-22号線歩道バリアフリー化実施設計とともに、平地林間伐業務を委託する。事業費約930万円を配分した。

 天平の丘公園は、市南西部の1級河川思川と姿川に挟まれた台地に立地。国指定史跡の下野国分寺跡や下野国分尼寺跡、南側の平地林と一体的な空間を形成する。開園から30年以上が経過し、施設の老朽化で多様化する利用者ニーズに応じ切れていない。

 短期計画期間は2021~25年度。基本理念は「四季を通じて利用者が訪れる公園への再生」「公園利用者と史跡見学者が相互に行き来する公園」。一般車は市道2-22号線から夜明け前、西、東の各駐車場へ向かう。片側歩道は段差があり、バリアフリー化する。

 基本計画は栃木都市計画センター(宇都宮市)が担当。動線計画は歴史的資源や自然環境を生かすため、地形の大幅な変更はせず可能な限り既存の道路や園路を活用。ただし下野国分寺跡と西駐車場を直接移動できるルートを新設し、新たな仕掛けづくりに取り組む。

 園内を①風土記の丘資料館(国分寺、国分尼寺、花広場へ近接)②花広場(イベント主会場)③国分尼寺跡(国指定天然記念物の苗を移植した淡墨桜の名所)④夜明け前(古民家カフェ、国見山)⑤平地林(散策路)⑥花広場南(十月桜の名所)-の6エリアに区分。

 ゾーンごとの施設整備状況と利用促進の視点で課題を整理。風土記の丘資料館エリアの短期計画は駐車ラインの引き直し、身障者駐車エリアの設定、駐車場から他のエリアへの誘導、西行桜の見せ方工夫、東西軸となる市道2-22号線の歩道段差解消と改良。

 市民アンケートの整備要望上位5つは「清潔感があり、利用しやすいトイレへの改善」「利便性の高い駐車場の確保」「あずま屋の配置」「親水空間整備」「四季折々の花が咲く空間」。屋外トイレは花広場、夜明け前、平地林エリアの3カ所にあり、いずれも傷みが進行。

 特に女性や子育て世代からは衛生的で明るい雰囲気のトイレを望む声が多く、公園の好感度を高めるトイレの改修が不可欠。駐車場は駐車枠の白線塗装が劣化し、駐車しづらい。ワンボックスカーが余裕を持って駐車できないという意見が目立つ。

 2カ所のあずま屋、散策路沿いに沿った複数のベンチは劣化が進行し、夜明け前エリアこども広場には日よけ付きベンチを数多く設置。子育て世代からは日差しや急な雨をしのげる屋根付きベンチを求める声が寄せられた。不足箇所は増設を検討する。

 園内の水辺空間は明日香川、明日香池、水生植物園、子宝橋があり、平地林エリアに集約。水生植物の群生見学、昆虫採集、野鳥観察の学びの場に活用。子どもが遊べる親水施設は新たな市民ニーズであり、水遊び機会を提供する環境づくりが課題。

 四季を彩る多くの草花が自生。周囲には雑草や木枝が繁茂し、良好な生育環境ではなく利用者への魅力発信に結び付いていない。花や緑の演出方法を見直し、平地林の活用を広く周知。若者層が中心のSNS情報発信に「美しい風景の映える場」づくりが必要。

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