建設業労働災害防止協会新潟県支部(植木義明支部長)は21日、第55回目となる新潟県建設業労働災害防止大会を新潟市内のANAクラウンプラザホテルで開いた。この大会は昨年、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったが、県内の労働災害が急増している状況を踏まえ、より一層の安全意識の向上を図る重要性の観点から開催した。
大会の冒頭、あいさつに立った植木支部長は「これまで減少傾向にあった県内の労災発生状況は本年に入り一転急増した。全産業の今年6月末の発生状況を前年同期と比較すると46%増、建設業でみると同41%増、土木工事に限ると54%増と極めて憂慮すべき状況」との認識を示した。こうしたことから6月には、労働災害のない職場づくりへ向けた緊急要請が新潟労働局長から出された。植木支部長は「増加した労働災害の発生要因を分析すると、転倒など季節要因や不安全行動も多くみられる。これからはコロナ対策や熱中症対策もしっかり行わなければならず、今後は本日の大会を契機にいま一度基本に立ち返り、これまで以上に労災活動に取り組み、労災に遭うことのないよう取り組んでほしい」と呼び掛けた。
続いて花角英世知事代理で出席した県土木部の星副部長は「建設業はエッセンシャルワーカーとして活躍されているが、建設業における今年6月末までの労働災害発生状況は203名が見舞われ、2名がお亡くなりになっている。県としては建設工事に従事される皆様の安全と健康が確保されるよう工事の安全管理を徹底するとともに、今年3月に策定した第4次新潟県建設産業活性化プランに基づきICT活用工事や週休2日モデル工事の実施など、労働環境の改善に向けた取り組みを推進していく」との姿勢を示した。また「建設業はSDGsにもっとも活躍できる産業。こうした取り組みを県民にアピールし、将来の担い手確保につなげていきたい」と述べた。
新潟労働局の岩瀬信也局長は「建設業の今年6月までの労働災害発生状況は59人で41%増。今年1月に大雪が降ったことによる転倒災害や職場における新型コロナウイルス感染による休業も労働災害となるが、これらの要因を差し引いても11%増となっている。こうしたことから先月、緊急要請を行い、安全活動の重点的取り組み徹底を強く求めた。また、新型コロナウイルス感染症防止として、結果として現場内のコミュニケーションの確保を怠ることのないように、くれぐれも作業員の意思疎通を図ってほしい」と要請した。
北陸地方整備局の岡村次郎局長の代理で出席した森若道路部長は「工事の安全対策に絶対はない。安全第一を優先として取り組む姿勢が工事事故を減らすことにつながる」と大会の意義を強調した。
大会はその後、優良事業場賞18社、個人功績賞18人、職長賞23人に支部長表彰が贈られた後、新潟労働局健康安全課の上田克郎課長、元全日空客室乗務員の吉永由紀子さんによる記念講演が行われた。
【写真=大会では表彰式も行われた】