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栃木県小山市

小山市じゃがまいた伝承館、23年度に着工、24年度開館へ、来年度に基本・実施設計

2021/08/25 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市教育委員会は、間々田のじゃがまいた伝承館基本計画策定に着手した。基本計画はトータルメディア開発研究所(東京都千代田区)に委託。併せて今年度は9月までに国土交通省へ都市構造再編集中支援事業の計画変更を申請する。2022年度は建築基本・実施設計、展示基本・実施設計をそれぞれ委託。23年度に着工し、単年度での完成を目指す。24年度に開館し、関東有数の奇祭の存在を広くアピールする。

 間々田のじゃがまいた(蛇まつり)は、端午の節句に間々田八幡宮境内を主会場に開催される。19年3月、国の重要無形民俗文化財に指定された。一層の文化財保護や啓発活動を推進し、潜在的な観光資源を磨き上げる。地域振興拠点の役割を併せ持つ。

 伝承館は魅力を発信し、深く知る機会を提供。伝統行事の意義を正しく伝え、各町内の蛇制作技術を次世伝に引き継ぐ。じゃがまいたの今昔や変遷を確認できるよう歴史を記録に残す。将来の担い手が歴史や文化の特性を理解し、技術や文化を支える人材を育成する。

 基本機能は①伝承・教育普及②展示③広報-の3つ。制作技術を体系的に収集、整理、保存、記録。親しみやすく分かりやすい展示ストーリーと構成。制作技術実演や体験を展示と一体化。計画では映像を中心に音声や実物原寸大の蛇体模型を展示する。

 施設構成は展示エリア(常設展示室、映像シアター、体験学習室)、共用エリア(エントランスホール、受付、トイレ、喫茶・土産店)、管理エリア(事務室、会議室、倉庫、休憩室、ボランティア室、機械室)を想定。建設工事と並行し、展示物を制作する。

 じゃがまいた伝承館建設は「間々田駅周辺地区都市再生整備計画第3期」(19~23年度)に新たに位置付けし、社会資本整備総合交付金の中でも補助率が優遇される個別支援制度を活用する予定。建設地は、奉納会場となる間々田八幡宮周辺が有力。

 7つの町内が竹と稲わらにシダの葉を巻き付けた全長15m、太さ60㌢前後の巨大な蛇を制作。「じゃーがまいた。じゃがまいた」とはやし立てながら弁天池に入水。蛇体入水による雨ごい要素を垣間見ることができ、民間信仰の基調な資料と国から評価された。

 蛇がとぐろを巻く姿や蛇が参った様子を表し、田植え時期を前に五穀豊穣や疫病退散を祈願する。7体は蛇寄せと称して神社へ向かい、蛇揚げといって一体ずつ社殿を駆け上がる。祈祷を受けた後、弁天池で蛇体を練り回しながら水飲みの儀に臨む。

 5月5日の年に1度しか観覧することができず、新緑薫る境内には春の風物詩を目当てに多くの見物客が集まる。しかし催事以外は訪れる人が少なく、年間を通してにぎわう伝承館の在り方を基本計画で導く。幅広い世代が活動し、交流する拠点を目指す。

 市南部玄関口の間々田地区は、国道4号やJR宇都宮線に沿って南北に細長く市街地が形成されている。八幡宮は奈良時代中期の創建とされ、境内の一部に立地する間々田八幡公園は市都市計画マスタープランで環境保護重要拠点に指定されている。

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