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流域下水道評価、管渠の耐震化と調査順調、汚泥利用も目標上回る

2021/08/28 日本工業経済新聞(栃木版)

 県流域下水道事業経営評価委員会(委員長・前橋明朗作新学院大学経営学部長)のウェブ併用会議が26日、県庁で開かれ、経営戦略に掲げる2020年度の取り組み達成度評価について事務局の都市整備課と意見を交換した。評価は9つの成果指標で行われ、事務局が各指標の実績や自己評価、21年度の実施内容を説明した。20年度は8つの指標が計画通り進捗。幹線管渠耐震化率と下水汚泥有効利用率は目標値を大きく上回った。

 委員会は20~29年度を計画期間とする流域下水道事業経営戦略の推進と事業経営の透明性向上を図るために設置。流域下水道事業は企業会計に移行しており、委員会は経営や災害対策、環境保全に関する学識経験者、専門家ら5人の委員で構成。県が定期的に意見を求める。

 成果指標は下水道機能の維持向上、災害に強い下水道、地球温暖化対応といった施策目標に関する取り組みや財政マネジメントに関する数値を設定。指標のうち処理場の処理能力については、思川浄化センターで増設土木工事が今年度に完成。22年度に機械設備と電気設備工事を行い、増設を完了させる。

 老朽化した幹線管渠の調査・点検は18~22年度の1巡目の対象管渠130・4㎞のうち62・3%にあたる81・2㎞の調査を実施。21年度の80%達成に向け引き続き調査を進める。

 改築・更新を実施した主要設備数(累計)は鬼怒川上流、巴波川、北那須、大岩藤の各浄化センターで監視制御設備を更新。計画通りに進捗しており、21年度は県央浄化センター、北那須浄化センターで機械設備と電気設備の更新工事が完了する。

 幹線管渠の耐震化率は上流処理区など4処理区で管渠の継ぎ手を可とう化する耐震化工事を45カ所で実施。補正予算で箇所が増加し、目標値31%に対して実績は42・2%。21年度は6処理区の47カ所で実施を予定している。

 中継ポンプ場・処理場の耐震化率は間々田中継ポンプ場の工事が計画通りに進んでおり、今年度に建築工事が完了する予定。

 再生可能エネルギー導入等によるCO2削減量は全処理区で消化ガス発電施設が整備され、目標を上回る3791㌧のCO2を削減。県央浄化センターでは消化ガス発電機が経年劣化により出力が低下しており、オーバーホールで対応する。

 下水汚泥の有効利用率は焼却灰を活用する受け入れ企業が増加。21年度目標の82%を上回る82・9%の利用率を達成した。

 経常収支比率は102・2%で計画よりも改善。企業債残高については、20年度目標値95億円に対して実績は95億7000万円。おおむね計画通りに減少しているものの、工事を前倒しで着工し、前金払いの財源となる企業債の借り入れが増加したため計画との乖離が生じた。

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