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千葉県県土整備部

「未来」見据え基盤整備/道路網形成で圏央道効果/池口正晃県県土整備部長インタビュー

2021/09/07 日刊建設タイムズ

 7月の人事異動で県県土整備部長に就任した池口正晃氏は「未来の社会インフラの整備と、安全な地域づくりが県土整備部の役割」との認識を示した。道路事業に関しては、首都圏中央連絡自動車道の整備効果の波及に寄与するアクセス道路の整備に力を入れる。河川事業においては「過去に経験した災害と同規模の災害が起こっても、同じような被害にならないよう改善していくことが必要」と考えている。また、社会インフラの整備は、県内建設業の力によって実現できていると話した。


 ――千葉県の印象はいかがですか。


 池口 家族でマザー牧場に訪れたことがあります。東京湾アクアラインを越えると、眼下には海が広がり、晴れた日には富士山が望め、すがすがしく美しい地域だと感じました。


 ――就任にあたっての抱負を聞かせてください。


 池口 千葉県には、大都市や東京に隣接する地域がある一方で、過疎化が進んでいる地域もあり、それぞれが課題を抱えています。課題を踏まえ、後世まで住んでもらえるような未来の社会インフラの整備と、日常生活の維持に向けた安全な地域づくりがわれわれの役割です。

 現地を訪れ、皆さまの意見を聞くことで地域特性を把握し、「より良くなった」と思っていただけるように努めていきます。


 ――主要な道路事業について教えてください。


 池口 圏央道が整備されることで、物流のネットワークが形成され、地域の発展が見込まれます。特に、主要な交通拠点である成田国際空港の近くを通ることから、新たな産業の創出も期待できます。

 道路はネットワークの形成によってさらなる効果が得られるものであるため、圏央道にアクセスする県道、銚子連絡道路、長生グリーンラインなどを整備していくことで、波及効果が得られます。

 また、北千葉道路は、東京近郊と空港をつなぐ重要な道路です。国と役割を分担しながら、少しでも早く全線開通できるように進めていきます。

 千葉県の骨格を成す館山自動車道に関しては、4車線化に向け、環境影響評価に取り組んでいます。

 新たな湾岸道路や千葉北西連絡道路については、その必要性を明らかにしつつ、地元の方々と連携して計画を具体化していきたいと考えています。

 6月に、八街市で大変残念な交通事故がありました。関係部局と連携し、改善が必要な箇所を洗い出しましたので、現地を見ながら短期的・中長期的な交通安全対策を検討していくことが重要です。

 

同規模の災害でも被害軽減

 

 ――河川事業についてはいかがですか。


 池口 19年の台風や大雨で甚大な被害を受けたことから、一宮川の河川激甚災害対策特別緊急事業に取り組んでいます。過去に経験した災害と同規模の災害が起こっても、同じような被害にならないよう改善していくことが必要です。

 近年進められている流域治水に関しては、関係者が協働して守っていこうという発想があります。皆さまの意見を聞きながら、被害をできるだけ少なくできるよう、情報提供などに取り組んでいきます。


 ――港湾事業について教えてください。


 池口 千葉港海岸船橋地区の機能強化など、技術的な難度が高い事業では国の力を借りて推進していきたいと考えています。


 ――国交省との連携はいかがですか。


 池口 国に対し、地元の声を継続して伝えていくことが重要です。国交省に在籍していたときには、全国から寄せられた要望に触れることもありました。過去の経験を生かし、貢献していきたいと思います。


 ――地域の建設業に対する思いなどを聞かせてください。


 池口 建設業界の皆さまの力をお借りして、社会インフラの整備が実現できています。また、災害や家畜伝染病の発生時においては、献身的な気持ちで対応していただき、感謝しています。

 建設業の尽力に対し、地域の方々の信頼が深まっていくよう、発信していければと考えています。また、普段の仕事があるからこそ、緊急時の対応ができると思いますので、県として事業量を積極的に示していくことが重要です。

 地域の建設業において、将来の生活設計を描けるような職務環境をつくっていくことができれば、千葉県を良くしていきたいと思っている若い方にとって、より魅力的な仕事に見えると考えています。

 コロナ禍において急速に進められているデジタル・トランスフォーメーションなどにより、業務の効率化が図られることで、子育てや介護などとの両立につながることを期待しています。




略歴

 いけぐち・まさあき

 1968年10月23日生まれ。94年3月、京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻修了。同年4月、建設省(現・国土交通省)入省。土木研究所道路部トンネル研究室、九州地方整備局鹿児島国道工事事務所調査課長、近畿地方整備局道路部道路計画第一課長、東北地方整備局企画部企画調整官、道路局企画課道路事業分析評価室企画専門官、滋賀県土木交通部長、中部地方整備局道路部長、近畿地方整備局企画部長などを経て、7月から現職。趣味はクラシックギター独奏。「誠実」と「謙虚」であることを心掛けている。

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