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千葉県防災危機管理部

復旧・復興指針を改訂/中長期に停電対策など/台風・大雨災害から2年/県防災機危機管理部

2021/09/10 日刊建設タイムズ

 県防災危機管理部は、2019年の房総半島台風等の一連の災害からの復旧・復興の実現に向けて、同年11月に策定した「千葉県災害復旧・復興に関する指針」を改訂した。9日に被害発生から2年を経過したことから、これまでの取り組みの実績や進捗状況を追記した。改訂は今回で4回目となる。

 各事業の進捗状況を見ると、指針において進捗管理を行っている72項目のうち、上水道・工業用水道等の停電対策、河川整備、無電柱化、防災訓練など16項目は、事業完了までに時間を要することから、中長期的な取り組みを進めている。残る56項目のうち、災害廃棄物処理や浸水想定区域図の早期公表など39項目がこれまでに完了。また、被災件数の多い住宅や農業用施設の復旧支援など11項目が21年度末までに、また応急仮設住宅の提供や被災者生活再建支援制度など6項目が22年度末までに完了する見込みとなっている。

 中長期的に実施する主な事業として、停電・断水対策、治水対策、防災力向上に向けた取り組みを推進。停電・断水対策については、停電や浸水による影響が大きいライフライン関係施設(上下水道・工業用水道施設)や河川管理施設、病院・診療所、社会福祉施設等における停電対策について、21年度以降も計画的な取り組みを進める。

 治水対策では、一宮川の中流域において、国の「河川激甚災害対策特別緊急事業」などの採択を受け、河道断面の拡大(護岸法立て、河道拡幅)や第二調節池の増設を実施。また上流域・支川において、21年度末までに河川整備計画を変更するとともに、22年度の事業化を目指す。また印旛沼では、水資源機構、関係自治体、利水者などと協議し、予備排水開始の基準となる予測降雨量を引き下げることとし、新たに運用を開始している。このほか、県管理河川においては、河川本来の流下能力を確保するため、竹木伐採・堆積土砂の撤去を実施。20年度からは新たに創設された緊急浚渫推進事業を活用し、竹木伐採・堆積土砂の撤去を集中的に実施していく。

 防災力の向上に向けた取り組みでは、地域防災計画において災害対策本部設置基準や配備基準などを見直したことを踏まえ、その内容を災害発生時の応急対応マニュアルなどに反映した。

 県では今後の取り組みとして、住宅や農業用施設の復旧支援など現在実施している事業については、引き続き市町村や関係団体と連携した取り組みを行い、停電対策や治水対策など中長期的な実施が必要な事業については今後、国土強靭化地域計画等の各種計画にも位置付けた上で早期完了を目指すこととしている。

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