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県減災対策協議会 県内11流域で推進、流域治水プロジェクト始動

2021/09/17 日本工業経済新聞(栃木版)

 県減災対策協議会(会長・福田富一知事)は16日、県流域治水プロジェクトを策定した。県内を11流域に分割し、流域ごとにプロジェクトを作成。対策の柱は①氾濫をできるだけ防ぐ・減らす②被害対象を減少させる③被害の軽減、早期復旧・復興-の3本。各対策に「洪水防御施設、粘り強い堤防」「砂防関係施設」「緊急輸送道路」の整備、「ため池等の治水利用」「森林整備、治山対策」など24項目の取り組みを掲げ、場所や実施主体、時期を示した。

 分割した流域名は①利根川(支川思川)②利根川(支川巴波川)③渡良瀬川④鬼怒川下流⑤鬼怒川上流⑥小貝川⑦那珂川下流⑧那珂川上流⑨那珂川(支川逆川)⑩那珂川(支川荒川)⑪那珂川(支川箒川)。

 氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策は各流域で実施。県管理河川は39河川を位置付けた。河川改修による洪水防御施設・粘り強い堤防、砂防関係施設や下水道排水施設を整備。また、利水ダムの事前放流を実施し、間伐などの森林整備や再造林、治山ダム整備を進める。

 河川に隣接している農業用ため池では流入施設を改築し、上昇した河川の水を受け入れる。田んぼダムは排水口を改良し、雨水を一時的に貯留。宅地などでの雨水流出抑制施設の設置を促進する。

 被害対象を減少させる対策では、立地適正化計画に基づく水害リスクの低い地域への居住誘導を各流域で推進。那珂川下流域では那須烏山市下境、宮原地区で検討されている防災集団移転促進事業による家屋移転や住宅・敷地の嵩上げを位置付けた。

 被害の軽減、早期復旧・復興対策はハザードマップ、危機管理型水位計・簡易型河川監視カメラによる情報発信、ダム操作状況の情報発信の強化、緊急輸送道路や避難地となる都市公園の整備、道路アンダーパス部の冠水対策などを進める。

 各取り組みの時期はおおむね5年の短期、15年の中期、30年の中長期の3段階で表示。各取り組みは中長期的に実施し、道路アンダーパスの冠水対策(県、市)、都市公園の整備(宇都宮市、真岡市)は短期で対策を完了させる。

 県流域治水プロジェクトは降雨量が増大するなか、国や自治体、企業、住民ら流域の全関係者が水災害を軽減させるハードソフトの取り組みを共有し、流域治水の意識を醸成。協働で取り組みを推進する。国の動向を踏まえて5月に素案を作成し、検討を進めてきた。

 県土整備部の田城均部長は「これから本格的な台風シーズン。引き続き洪水からの逃げ遅れによる人的被害ゼロを目指し、関係者と連携して対応していきたい」と述べた。プロジェクトは見直しを行いながら実効性を高めていく。

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