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佐野市、耐震改修3期計画案、25年度に住宅95%目標、設計団体と連携強化

2021/09/29 日本工業経済新聞(栃木版)

 佐野市は、建築物耐震改修促進計画3期計画案をまとめた。2025年度末の耐震化率目標は住宅が95%、多数の者が利用する特定建築物は概ね解消、地震時に通行を確保すべき道路沿道の建築物は95%、防災上重要な市有建築物は100%に設定。補助制度や優遇税制の情報提供のほか、県建築士会や県建築士事務所協会と連携を強化する。

 計画期間は21~25年度の5カ年間。群馬県南東部の銚子~柏崎構造線を震源とするマグニチュード7・0の地震を想定。被害は2816棟が全壊、4301棟が半壊、1万9355棟が一部損壊、死者103人、7165人の避難者が発生すると予測した。

 20年度の住宅総数は3万9200戸あり、耐震化率は84%。25年度の住宅戸数4万8300戸のうち耐震性が不足するのは6600戸、耐震化率は86%と推計。目標の95%を達成するには全戸数に占める割合で9%、4200戸の耐震化が必要となる。

 多数の者が利用する特定建築物は286棟あり、20年度の耐震化率は89%。20年度末の用途別の耐震化率は学校96%、社会福祉施設95%、賃貸共同住宅89%、病院・診療所75%、工場・事務所等81%。地震の際の危険を防ぐため、概ね解消を目指す。

 地震時に通行を確保すべき道路に面する建築物は、緊急輸送道路沿線上や建築物集合地域通過道路上の建物。184棟あり、20年度の耐震化率は73%。公共施設、警察署、自衛隊を結ぶネットワークを維持するため、25年度の耐震化目標を95%に据えた。

 防災上重要な市有建築物は67棟あり、20年度の耐震化率は90%。用途別の耐震化率は災害対策活動拠点、消防活動拠点、救急物資集積輸送拠点が各100%、避難拠点89%、医療活動拠点50%。目標未達成施設を耐震化し、25年度の100%達成を急ぐ。

 市内は地震の発生頻度が低く地震災害が軽微だったこともあり、耐震診断や改修への関心が薄いのが実情。市民の生命と財産を守るには、これまで以上に耐震化の重要性を啓発する。市建築指導課を相談窓口に位置付け、内容に応じた適切な案内を徹底する。

 県建築士会や県建築士事務所協会らの協力を得て耐震化費用や工期の目安が把握できる資料を充実。木造住宅の耐震診断、耐震改修、耐震建て替えの助成制度を周知するリーフレットの作成、旧耐震基準住宅密集地区への個別訪問を優先。効果的な対策を講じる。

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