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栃木県足利市

足利市新産業団地、総事業費35億円、あがた駅北、19ha開発、年内に進入路築造を指名

2021/10/06 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、市直営の「あがた駅北産業団地開発事業」(県町、下渋垂町、百頭町)に着手した。東武伊勢崎線県駅北側の農地を全面買収方式で取得。団地面積19・1ha、分譲面積14・3haの4区画を創出する。用地取得が順調に推移した場合、年内に進入路築造工事を指名競争で発注する。2022年度に造成工事を本格化させ、25年度に予約分譲を開始する。26年度の完成を目指し、総事業費約35億円を見込んでいる。

 開発事業の本格化を見据え、市は21年4月に特別会計を創設。初年度は事業費8億9000万円を計上した。内訳は公有財産購入費7億580万円、委託料1億486万円、工事費2400万円、補償費5436万円。地権者は75人、ほぼ同意を取り付けた。

 20年度は基本設計を栃木都市計画センター、地質調査を中央土木工学研究所、土地評価を池末不動産鑑定事務所(以上宇都宮市)、方眼測量を晃洋設計測量(足利市)に委託。併せて用途地域の変更、地区計画の決定、区域区分の変更の都市計画決定を告示した。

 市決定の用途地域の変更は駅舎を包含する21haを工業地域に指定。容積率は200%、建ぺい率を60%に制限。市決定の地区計画は駅舎を除く19・5haで住宅、大型商業施設、産廃施設の立地を制限し産業団地3方向に幅15mの緩衝帯を配置する。

 足利佐野都市計画区域マスタープランに基づき県が区域区分を見直す定期線引きの変更では、一帯の21haの市街化調整区域を市街化区域へ編入した。あがた駅北を産業拠点地区に位置付け、計画的な開発見通しが確実なことを理由に原案通り承認した。

 21年度は詳細設計を3件に分けた。道路・雨水排水設計を晃洋設計測量、整地設計を栃木都市計画センター、調整池・付け替え水路設計を関東開発(足利市)に委託済み。21年度は造成着工に備え、工事用道路の取り付け道路築造を予定する。

 資機材搬入路となる取り付け道路は北側の市道上渋垂愛宕台中学校通りから南方向に延長150m(幅員12m)を計画。一帯への搬入搬出路がなく、用地を取得して道路を築造する。

 土地利用計画案は分譲用地14・3ha(74・9%)、調整池2・2ha(11・5%)、道路1・7ha(8・9%)、公園0・6ha(3・1%)、水路0・3ha(1・6%)。4区画の面積は1街区4・8ha、2街区1・9ha、3街区1・2ha、4街区6・4ha。

 2街区南側に公園を配し、公園の南側に調整池を築造。東武伊勢崎線の県駅真北に3街区、線路沿いに4街区と調整池が並ぶ。1街区は市道下渋垂町66号線の東側、2街区は主要地方道足利邑楽行田線の西側に配置。ほぼ長方形の整形地とする。

 計画地は県企業局が造成した「あがた駅南産業団地」(開発面積18・4ha、分譲面積12・3ha)の北側。駅南は造成工事中の予約分譲段階から企業の引き合いが相次ぎ、全10区画は早々と完売。企業の進出意欲は高く、市独自で新団地開発を手掛ける。

 引き続き企業からの問い合わせが寄せられており、市内13の産業団地は全区画が完売。駅南と一体となった駅北の用地拡張にシフトし、早急に企業の受け皿を確保する必要性に迫られている。雇用の促進、地域産業の活性化、税収強化、移住定住につなげる。

 東端を主要地方道足利邑楽行田線が南北方向に縦断し、東西方向に横断する国道50号と交差。南側は東武線が東西方向に運行し、あがた駅南産業団地の一部が八坂第2工業団地に接している。北側は市道上渋垂愛宕台中学校通りが東西方向に走る。

 交通網は南北2㎞で国道50号と国道122号に接続。北関東自動車道の足利IC、太田桐生ICへ各10㎞、東北自動車道の佐野藤岡IC、館林ICへ各15㎞の利便性。約3000の企業が操業する両毛地域の中心部に位置し、東京まで80㎞圏。

 駅の上下を囲む形での産業団地造成は全国でも珍しく、東武線の利用者増につながると判断。JR大宮駅から約1時間とあって、鉄道利用による人材確保が見込める。産業団地を核に街全体に活気がみなぎるよう若者世代の定住や移住策を一層強化する。

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