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渡良瀬遊水地隣接の6市町、治水事業促進を要望

2021/10/07 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木、茨城、群馬、埼玉4県の6市町は6日、埼玉県加須市の大利根河川防災ステーションで「渡良瀬遊水地の治水事業促進に関する要望書」を国土交通省利根川上流河川事務所の安達孝実所長に手渡した。栃木市の大川秀子市長が①遊水地掘削による貯留容量の増加と洪水調節機能の向上②遊水地に流入する河川の積極的な高水敷掘削と河道の樹木伐採による流下能力の確保③掘削土活用による堤防の強化-を連名で提出した。

 出席したのは大川市長をはじめ小山市の浅野正富市長、野木町の真瀬宏子町長、茨城県古河市の針谷力市長、群馬県板倉町の栗原実町長、埼玉県加須市の大橋良一市長の6人。利根川上流河川事務所は安達所長、阪本敦士、島田裕司の両副所長ら8人が応対した。

 大川市長は「2019年の東日本台風では、関東各県で何らかの被害が発生した。国は流域治水を提唱し、あらゆる関係者が協働による水害対策を講じる取り組みを開始した。国と地方自治体が連携しつつ、安全安心な生活基盤を確保したい」とあいさつ。

 安達所長は「東日本台風の際は本川や本川に流入する各支川の水位が上昇し、大変な状況に追い込まれた。渡良瀬遊水地は多くの水を貯留し、首都圏の大規模水害を抑えた。あらゆる機会を通じ、流域治水の重要性を周知していきたい」と述べた。

 この後は利根川堤防跡のカスリーン台風決壊口跡(1947年9月16日午前零時20分発生)記念碑前に会場を移し、大川市長が渡良瀬遊水地に接する4市2町の総意を伝えた。東日本台風では総貯留容量の95%当たる1億6000万立方mを貯留した。

 利根川上流河川事務所はラムサール条約湿地登録の第2調節池湿地再生事業に取り組んでおり、掘削残土を首都圏氾濫区域堤防強化対策の堤防拡幅工事に活用中。思川(小山市)や巴波川(栃木市)は国土強靭化3カ年緊急対策で河道掘削や樹木伐採を実施した。

 思川の水害対策では2021年度から右岸側で川西水防拠点(野木町)の整備に着手。堤防隣接地を盛り土し、河川防災ステーションの小型版を整備している。さらに巴波川は思川掘削土を堤防や天端の拡幅工事に活用。治水対策予算は積極的に確保すると回答した。

 渡良瀬遊水地は4県6市町にまたがる面積3300ha、総貯水容量は東京ドーム140杯分に相当する1億7000万立方mの国内最大規模。東日本台風の際は総貯水容量にあと一歩まで迫った。6市町の要望活動は20年8月18日に続いて2度目。

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