記事

事業者
栃木県那須塩原市

那須塩原市、水道ビジョン経営戦略改定案、鳥野目浄水場更新を優先、22~27年度建設改良費83億円

2021/10/28 日本工業経済新聞(栃木版)

 那須塩原市は、水道事業の基本計画(水道ビジョン)と経営戦略の改定案をまとめた。計画期間を2027年度までに見直すとともに、基幹施設の耐震化の時期を変更。鳥野目浄水場の手法を更新に改め、27年度まで優先的に実施する。千本松浄水場は28年度から、東那須野低区配水池は29年度から、低区配水池は32年度から、要害浄水場・配水池は35年度から、板室本村高区配水池は38年度から耐震化を予定。経営戦略の投資・財政計画では22~27年度の建設改良費を総額約83億円と試算した。

 現ビジョンの期間は17~26年度。国の新水道ビジョンを踏まえて「安全」「強靭」「持続」に分けて具体的な施策を掲げている。策定から5年を経過し、気候変動の影響など新たな課題を踏まえて改定する。市総合計画の期間に合わせて終期を1年延長。22年3月議会の承認を経て決定する。

 現ビジョンでは鳥野目浄水場の耐震化は18~21年度に計画。鳥野目浄水場では18年度に耐震診断を詳細に行った結果、施設自体の更新工事が必要と判明。想定していた補強から手法を切り替える。更新には多くの費用と期間を要するため、27年度までは鳥野目浄水場の事業のみを実施する計画に変更した。

 鳥野目浄水場は更新の詳細設計を20年度にNJS(東京都港区)に委託し、22年度までに策定する。また、鳥野目第3配水池の築造工事を実施している。

 このほかの施設の耐震化は鳥野目浄水場の後に実施。千本松浄水場は28~35年度、東那須野低区配水池は29~31年度、低区配水池は32~34年度、要害浄水場と要害配水池は35~37年度、板室本村高区配水池は38~40年度の実施を予定。蟇沼浄水場、鳥野目第1配水池は廃止する。

 主要な方策の27年度の評価指標では、浄水施設の耐震率を54・4%(20年度現状値0%)、配水池耐震施設率を24・4%(13・8%)、基幹管路耐震適合率を58・9%(49・2%)に設定した。

 管路は計画的な更新を継続。導水管や送水管、医療施設へ接続する配水管、地震時に被害を受ける老朽化した管路など優先度の高いものから順次工事を実施。

 耐震化以外の取り組みでは、北那須水道受水施設(関谷・大貫金沢・宇都野地区)の強化を実施。また、施設の更新に合わせた適正規模への見直し、再生可能エネルギー導入方法の研究を進める。

 広域化への取り組みについては、県が水道広域化推進プランを22年度までに策定を予定しており、水道事業者で構成する検討会を設置済み。水道事業が持続できるよう地域特性を考慮した発展的広域化を検討する。20年2月には大田原市と那須町と北那須3市町広域連携推進検討部会を設置しており、合同講習会など実現可能な取り組みから広域連携を図っていく。

 投資・財政計画の建設改良費は22年度8億3340万円、23年度11億7756万円、24年度17億8282万円、25年度21億2517万円、26年度15億9710万円、27年度8億5186万円。鳥野目浄水場の整備に伴い25年度をピークと予測した。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら