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【盛り土災害防止】全国知事会が法制化で全国一律の対応求める

2021/11/02 本社配信

 内閣府は、静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、有識者検討会を立ち上げて政府が進める盛り土の総点検を踏まえた対応方策等を議論している。10月29日には、全国知事会や全国建設業協会(全建)、日本林業経営者協会など関係5団体に対してヒアリングを行った。今回、全国知事会は都道府県における規制の現状と課題を紹介した上で、災害が激甚化・頻発化する中で土砂災害発生件数が増えているとし、ほぼ全ての都道府県が盛り土の規制に関する法律が必要と考えていると説明。一刻も早い「法制化による全国一律の対応」を求めた。

 全建は、残土処分場に関する課題として、公共工事では特に問題は顕在化していないものの、民間工事では処分場が指定されていない場合が多く、残土の管理や処分は元請け業者に委ねられている状況にあると指摘。適正な残土処分を促進するため、実態に合わせた適切な費用負担や、全国の民間残土処分場を含めた盛り土造成地の実態把握、公共事業として残土処分場整備等を行うことが考えられると提案した。さらに、下流に民家がある急傾斜地の盛り土での排水設備や擁壁等の安全措置の義務化、急傾斜地などに造成地や残土処分地を設置する場合は管理者による維持管理の義務を明確にし「経年変化等による対応を取れる仕組みが必要ではないか」と訴えた。

 日本林業経営者協会は、森林内で残土処分を行う場合、人目に付かないことが多く産業廃棄物が混入される恐れもあるため、あらかじめ悪質な事業者を排除する仕組みや悪質な行為を行った事業者を追跡できる仕組みが重要とし、行政も含めた残土処理の実施状況等の監視体制を充実させる必要があるとした。

 検討会では、盛り土の総点検に関する中間報告の内容も踏まえ、年内に検討結果を取りまとめる。

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