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【河川機械設備】ゲート設備更新・整備も議論の対象に

2021/11/03 本社配信

 国土交通省の社会資本整備審議会・河川機械設備小委員会は、2日の会合で新たに河川用ゲート設備の更新・整備の加速化を含めた論点整理を行った。8月に公表した中間取りまとめでは、量産型の車両用エンジンを転用したマスプロダクツ型河川排水ポンプの検討結果が中心となっており、今回から「堰」「水門」「樋門・樋管」「閘門」に設置された河川用ゲート設備を議論の対象に加えることを決めた。

 河川用ゲート設備の建設市場は2001年の約800億円をピークに減り、20年には約320億円まで減少。ゲート設備を製作・据付する主要メーカーは統廃合もあって20年間で6割減った。

 水門等の施設整備は高度経済成長に伴い全国規模で進み、現在では5割近くの施設は設置から40年が経過し、10年後には約7割、20年後には9割近くに達する見通し。直近10年における修繕や更新等の維持管理予算は人件費上昇もあって毎年増加傾向にあり、約230億円前後で推移している。02年3月末時点で国が管理する水門等の施設数は8858施設、都道府県が管理するものは2倍以上の1万9492施設。多くの機械設備を管理する地方自治体では技術系職員が少なく、維持管理体制に課題がある。

 今回、新たな論点として▽ゲート操作の自動化・遠隔化▽老朽化が進行する設備の故障リスク低減▽危機管理対策▽新たな技術の導入▽地方自治体への支援▽企業の技術力の維持・向上▽河川機械設備の情報収集・分析体制の構築―を設定。

 ゲート操作の自動化・遠隔化では、遠隔化運用時の監視・操作体制、設備・システムの標準化、将来的な完全遠隔操作化と一元管理する体制の構築が必要とした。さらに、自動化設備の開閉状況の確認方法、不完全閉鎖の対処方法も検討する。

 老朽化への対応では、ゲート設備の中でも点検が困難な部位にあり、かつ故障が発生しやすい装置・部品について、修繕、更新時に交換した故障部品等の劣化状況や故障要因を分析し、データを蓄積した上で点検整備、修繕、更新に反映する必要があると指摘。また、劣化しにくい材質の検討や点検が容易な構造等の導入に関する評価方法、運用面での課題も検討する。

 自治体への支援に向けては、点検を簡素に実施できるガイドライン等を作成、自治体に展開していくことを視野に入れる。

 小委員会では今後も議論を進め、来年1月以降に行うマスプロダクツ型排水ポンプの実証試験結果を含めた答申を、来年夏頃にまとめる。

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