茨城県鹿島郡旭村は、平成13年度から22年度まで10年間を対象とする第4次総合計画を策定した。計画は、10年間を対象とする基本構想と、17年度まで5年間を対象とする前期基本計画で構成。また、10年間の村づくりを3段階(ステップ1~3)に分け、それぞれ重点事業を提示している。
盛り込んだ主な建設事業では、土木関係では①海岸道路(未整備の玉田~上釜間)や村西部横断道路(村道1-13号線)の整備②上水道事業の推進③観光拠点の整備-など。一方、建築関係では、保健・福祉事業の拠点となる複合施設の整備を掲げたほか、文化会館や歴史民俗資料館などの機能を兼ね備えた新時代にふさわしい公民館の整備の検討、図書館の整備検討、などを盛り込んでいる。
4次総合計画に盛り込んだ建設関連事業は次の通り。
◎基本構想
【村づくりの基本理念】
▼「新・農業立村」=「農」を活かした村づくり
【将来人口】
▼目標年度(22年度)の将来人口を1万3、000人とする(12年10月1日現在の住民基本台帳で1万1、941人)。
【村づくりの戦略と主要事業】
▼ステップ1=「快適で持続性のある村づくり」
①農住混在の解消
②道路整備計画の策定
③海岸道路・西部横断道路の整備
④涸沼駅と国道51号を結ぶ道路の整備
⑤上水道事業の推進
⑥流域下水道事業の推進
⑦集落公園整備の推進
⑧農業後継者対策の推進
⑨総合福祉センターの整備
⑩健康づくりの推進
⑪シルバー人材センター整備など
⑫子育て支援事業の推進
⑬幼児教育センター機能の充実
⑭学校教育内容の充実
⑮生涯学習拠点施設の整備
▼ステップ2=「特徴ある村づくり」
①体験型農業公園の整備
②ふるさと農園整備事業
③谷津田の保全・活用事業
④涸沼周辺の公園・サイクリングロード整備
⑤鹿島灘への公園・駐車場などの整備
▼ステップ3=「発展性のある村づくり」
①観光農業の振興
②情報発信事業の推進
③若年者定住優遇制度
④青少年の多様な体験活動
◎基本計画
【計画的な土地利用】
▼都市的土地利用
①中心地区の整備=村役場周辺を、公共施設や商業施設、文化施設が総合的に集積した中心地区と位置づけ、公共用地の確保を推進し基盤整備を進める。
②住宅地の確保=役場、鹿島旭駅、涸沼駅周辺は、転入者を受け入れる住居地域として住宅地の確保を図る。
③工業系用地の確保=本村農業の特性を活かした企業誘致を進め、工業基盤の形成を図る。
④観光・レクリエーション地域の整備=涸沼駅を拠点とした涸沼周辺地域と、涸沼駅から上釜、玉田までの地域を観光・レクリエーション・農業公園地域とし、涸沼・鹿島灘の自然特性を活かした整備を図る。
⑤商業系用地の設定=中心地区などにおける住宅地整備にあわせて商業系地域の整備を行い、商業施設の確保を図る。
▼農村的土地利用
①農地の保全
②集落地区の整備=流域下水道、農業集落排水処理施設、道路、公園など都市施設の整備を推進する。
③谷津田の保全
▼自然的土地利用
①山林・平地林の保全
②海岸・湖岸における整備=涸沼や鹿島灘の水辺では、サイクリングロードや駐車場などの整備を図る。
③河川の整備・保全=大谷川は、造谷~涸沼間が一級河川に指定されているが、造谷上流は普通河川になっている。そのため、準用河川の認定、普通河川としての管理条例などを制定し、大谷川の管理や災害復旧工事などが行えるよう対策を検討する。
▼計画的土地利用の推進
①土地利用計画の策定=都市計画マスタープランの策定
②都市計画に基づく用途地域の指定の検討
③地籍調査の実施
④土地開発の適正化
⑤土地管理システムの導入=土地利用にかかわる複数の部門が同一の土地データを共有することにより、土地の管理や公共事業の効率化を図るため、土地情報システム(GIS)を導入する。
【道路・交通体系の整備】
▼広域幹線道路の整備促進
①東関東自動車道水戸線の建設促進=潮来~鉾田間の整備区間への格上げ
②北関東自動車道の整備促進
③国道51号の整備促進=4車線化、自歩道の整備
④(仮)県中央横断道路の整備促進=笠間市~本村
▼県道の整備促進
①県道下太田鉾田線の改良舗装
②主要地方道大洗友部線のバイパス整備
③県道子生茨城線の改良舗装
④県道鹿田玉造線の改良舗装
▼生活道路の整備
①計画的な道路整備の推進=村づくりを進めるうえで重要となる路線を設定し、機能的な道路体系を構築するため、道路整備計画を策定する。
②村道の整備=未改良道路の整備促進や、幹線以外でもニーズに応じた整備を推進する。
③海岸道路および西部横断道路などの整備
・観光・レクリエーション拠点である涸沼周辺と鹿島灘の一体性を確保するため、涸沼駅と国道51号を結ぶ道路の整備を促進する。
・海岸道路は、未整備の玉田~上釜間の整備を推進する。
・西部横断道路(村道1-13号線)は、村の東西軸が少ないこともあり、整備を推進する。
④交通安全への配慮=歩道、自転車道の整備
▼公共交通機関の確保
①鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の運行本数の確保
②バス路線の確保
【上水道の整備】
▼施設整備の推進
①上水道事業認可に基づく整備の推進=平成12年度を初年度とし、18年度までに村全域を給水区域とする整備を推進する。
②財源の確保
▼安定的経営の確保
①ランニングコストの削減=上水道事業運営計画をたてる。
②水道水利用の促進
【下水道・排水処理対策の推進】
▼生活排水処理施設の整備
①流域下水道事業の導入=鹿行北部公共下水道整備基本計画に基づき流域下水道を導入して、公共下水道整備を進める。
②農業集落排水事業の推進=流域区域外のうち、住宅などが密集し集中処理に適した地域で推進する。
③合併処理浄化槽の普及促進
④コミュニティプラントの整備推進=今後行われる宅地開発では、合併処理浄化槽のコミュニティプラントの整備を促進する。
⑤し尿処理施設の整備=現在の施設は昭和58年の供用開始で、老朽化に加えて耐用年数がすぎており、処理能力も低下しているため、最新の高度処理施設を整備する。
【公園・緑地の整備】
▼公園の整備
①大洗自然公園の整備促進=自然環境を保全できるような整備を要請する。
②既存集落周辺の公園整備=快適な生活空間の形成や防災の観点から、農村公園などの整備を検討する。
③住宅地開発に伴う公園配置の検討=中心地区や鹿島旭駅、涸沼駅周辺の宅地開発にあわせ、住区基幹公園の配置を検討する。
④体験型農業公園の整備
▼緑地の保全
①自然環境保全地域の保全=樅山、子生、冷水地区
②平地林の保全
③都市緑地の保全
【ごみ処理・循環型社会の形成】
▼ごみ減量化の推進
①一般廃棄物処理計画などの策定
②ごみ減量化の推進
【公害防止と地域環境の美化】
▼公害防止対策の推進
①騒音対策の推進=百里飛行場に関する騒音指定区域の拡大に伴い、住宅防音設備の指定区域の拡大を要請するとともに、学校・公共施設の防音工事など引き続き騒音対策を推進する。
【水際環境の整備・保全】
▼涸沼湖沼の整備・保全=水質浄化を図るため、排水処理施設の設置事業を推進する。
▼鹿島灘の整備・保全
①海岸線の保全と再生=海岸線浸食防止対策として、人口岬工法(ヘッドランド工法)による整備を国・県に働きかけ、海岸海浜安定化推進事業の早期完成を要請する。
②砂防林の保全=本村の松林は約8kmに及び、保全を県に働きかけるとともに、遊歩道の設置など利活用の検討および要請を行う。
【安全対策の推進】
▼消防体制の強化=施設整備
▼防災体制の強化=施設整備
▼防犯体制の充実=施設整備
▼交通安全の推進=交通安全施設の整備促進
【農業の振興】
▼出荷体制の整備=直売施設の整備
▼生産基盤の整備=各種農業生産基盤の整備に努める。
【水産業の振興】
▼涸沼における漁場の整備=人工漁礁の設置、産卵孵化施設の整備促進
【工業の振興】
▼農業関連産業の集積
①本村にふさわしい農業関連産業の集積を図るため、新規工業団地(加工団地)の立地を検討しながら、各種調査の実施や関係機関への要請などを推進する。
②関連施設の整備検討=新規工業団地の整備に伴う道路、住宅の確保など、関連施設の整備について検討する。
【商業の振興】
▼商業基盤の整備
①店舗共同化の指導
②新たな商業施設集積地の検討
【観光の振興】
▼観光基盤の整備
①湖岸地区の開発=涸沼周辺に公園、サイクリングロードの整備を図る。
②海岸地区の開発=公園、広場、駐車場などの整備を図るとともに、海洋型レジャー施設整備の誘導を検討する。
【地域福祉の推進】
▼総合的な福祉・保健などの拠点整備=保健・福祉サービスを一体的に提供し、健康増進の拠点となる複合施設の整備を図る。
【児童福祉の充実】
▼保育施設の充実促進
▼児童の健全育成=地域における児童の健全育成活動の拠点となる施設の整備を検討する。
【義務教育の充実】
▼教育施設の整備・充実
①教育内容の充実に対応した適正な施設整備・改築を進める。
②小中学校などの校舎への除湿・温度保持設備の設置を計画に行うとともに、和室やランチルーム、コンピュータルームなどの整備について検討する。
【生涯学習】
▼社会教育施設の整備充実
①公民館の整備=生涯学習センター、文化会館、歴史民俗資料館などの機能を兼ね備えた新時代の公民館の整備を検討する。
②図書館の整備=整備の検討
【スポーツ・レクリエーションの振興】
▼体育施設の整備充実
①地域体育施設の整備=東・南地区への多目的広場の設置を検討する。
【地域文化の振興】
▼村歴史民俗資料館の整備=郷土の歴史と文化に対する知識と理解を得るため、生涯学習施設整備の検討に合わせ、歴史民俗資料館の整備を検討する。
【コミュニティの育成】
▼コミュニティ施設の整備充実=コミュニティ活動の拠点となる地区集会施設の充実を図るとともに、老朽化が進む村立公民館の改修などを推進する。
【効率的な行財政の運営】
▼地域情報化基盤の整備=住民サービス向上のための情報化推進計画の策定、庁内LANの整備、パソコン配置整備などを図る。
【広域行政の推進】
▼広域処理事業の推進
①ごみ・し尿処理施設の整備=廃棄物処理基準の見直しに伴うごみ処理施設の整備を図るとともに、し尿処理についても施設の老朽化、耐用年数の経過などから整備を図る。
②広域水道整備事業の推進=18年度までに村全域が給水区域となるよう、関係市町村と連携し広域水道事業を推進する。
③広域下水道整備事業の推進=鹿行北部4町村(旭村、鉾田町、大洋村、北浦町)の連携を密にしながら、公共下水道整備事業(広域下水道事業)の促進を図る。