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このままでは業界崩壊/最低制限価格引き上げなど求める/長野商議所が長野市と意見交換

2008/08/19 長野建設新聞

 長野商工会議所建設工業部会及び建設関連部会は12日、長野市と意見交換会を開き、建設業界の窮状を訴えるとともに、最低制限価格の引き上げなど具体的な対策を講じるよう求めた。

 高木正雄・建設工業部会長(高木建設代表)は、建設業が果たしてきた役割を説明した上で、「資産売却や人員整理などできることはやった」と自助努力の限界を強調。高見澤秀茂・建設関連部会長(高見澤代表)は「資材の仕入れ値が高騰しているが、現在の市場状況で取引先に価格の引き上げをお願いすることは難しい」と苦しい胸の内を吐露した。

 また、中川信幸議員(飯島建設代表)は「市にお願いしたいのは最低制限価格の引き上げ。これに尽きる。このままでは災害や除雪作業に対応できる業者はいなくなる」と訴え、加藤誠議員(中部建設工業代表)は「『建設業=談合=暴利をむさぼる』という悪いイメージが定着してしまった。これに加え、過当競争で疲弊した産業に目を向ける若者も減り、20~30才前半の作業員がほとんどいない。業界が縮小することはしかたない。しかし、この状態が続けば、縮小ではなく崩壊してしまう」と危機感をあらわにした。

 一方、長野市の内山秀一建設部長は、先月24日付で発動した単品スライド条項の内容を説明したほか、今後の事業見通しとして長野~須坂長野東インター間のスマートインターチェンジ設置構想や、国道19号・安茂里地区における水路の国道・JR横断を含む歩道設置計画などを紹介した。

 また、今後の重点施策となる耐震対策について「対応する職員が不足している」「改築ならともかく、改修はやり手がいないのでは」などと危惧。これに関連し竜野晃一・建設工業部会副会長(エーシーエ設計代表)は「建築確認、耐震業務がスムーズにいくことで、仕事が回り、景気浮揚につながる。しかし、職員不足は業界側にも言えること。建築コンサル業界も脆弱化し、対応が難しい現状がある。業界を育てることが大前提」と語った。

 部会からは他に「国、県が行っている内訳書の公表を行ってほしい」「工事完了後、できるだけ早く請負代金を頂きたい」といった要望が上がった。

 さらに、地場工務店による住宅受注減少について「背景に『倒産』『手抜き工事』などの不安感がある」とし、施工した住宅について責任を担保する保証システムの必要性を指摘する意見も聞かれた。

 加藤久雄・会頭(本久代表)は「会員減少の最大の要因は倒産・廃業。地場産業の育成という観点で、建設業への対応は大きなウエートを占める。行政と連携して良い方向に持っていきたい」と総括した。


 【写真㊤=加藤会頭。㊥上=高木建設工業部会長。㊥下=高見澤建設関連部会長。㊦意見交換会の様子】

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