国土交通省は9月1日以降に契約手続きを開始した土木設計業務の随契案件から、コンサル再委託の厳格化を実施している。1日付で各地方整備局に運用を通知しており、相談窓口を技術管理課に設置することも指示した。
コンサルの再委託については、国会における道路特定財源の議論の中で、随契で受注した公益法人が業務を丸投げしていた実態などが指摘され、対策の必要性を迫られていた背景がある。
同省は、再委託の承諾を必要としない「軽微な部分」の拡大解釈を防ぐため「土木設計業務等委託共通仕様書」の1127条を改正した。具体的には「軽微な部分」についてコピー、印刷、製本および資料の収集・単純な集計のみの限定列挙に変えた。
ここに含まれない部分を再委託する場合は、基本的には発注者の承諾が必要となる。ただ速記録の作成やデータ入力など、あらかじめ発注者が特記仕様書に記載している場合は「軽微な部分」とすることができる。
また通達では、随意契約における再委託額の取り扱いを規定した。業務委託料の3分の1を超える申請があった場合については、ヒアリングを実施する。「やむを得ない理由が認められる場合において承諾する」ことにした。
このほか、受注者に提出を求める再委託承諾申請書も定めた。再委託予定者の住所、名称、氏名のほか、業務の内容、契約金額、必要性と再委託予定者の選定理由、履行体制などを記入してもらう。
再委託の上限を定めることについて、業界からは「請負とは何か」という本質的な観点からの反対意見が寄せられていた。これは、元請が最終的に全責任を負うのだから、再委託をどうしようと発注者に許可をもらう必要はないという考え方による。
ただ同省は、随契の場合、特定された企業(技術者)が技術力を発揮することにより、その者にしかできないという理由で受注している点を指摘。そうした背景から大部分を再委託に頼るのは問題ありという論理を展開している。