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茨城県監理課

コンサル低入調査を拡大/調査基準価格引き上げ/クロスチェック強化も

2009/04/01 日本工業経済新聞(茨城版)

 県土木部監理課は、建設コンサルタント業務の低入札価格調査制度をきょうから1年間、試行的に改正すると発表した。低価格のダンピング受注が増加していることから、現行の調査基準(1000万円以上の設計と1500万円以上の測量・調査)を、「500万円以上のすべての業務委託」に拡大。また調査基準価格の算定方法を引き上げるほか、第三者照査(クロスチェック)の強化を図る方針だ。

 今回の制度改正は、建設コンサルタント業務のダンピング入札が増加しており、成果品の品質低下や履行期間の遅延などが懸念されることから、業務の品質確保とダンピング対策の強化を図るもの。

 従来の低入札価格調査制度(コンサル)は、本庁の指名案件のみで適用。1000万円以上の設計業務と1500万円以上の測量・調査が対象で、事務所の指名案件では低入札のダンピング対策がとられていなかった。

 しかし20年度に入って1割強で落札率70%以下の入札件数が発生。なかには30%、40%の低入札も見られ、ダンピング入札が横行。

 これに危機感を持った県では低入札価格調査の拡大を検討。さらに、ことし3月、(社)県測量設計業協会(方波見正会長)からの要望もあり、500万円以上の全業務委託に低入札価格調査制度を拡大させることとした。

 これに際し、従来、非開示としていた調査基準価格の算定方法を開示。調査基準価格の引き上げも行う。

 調査基準価格の算定は、予定価格算出の基礎となった【別紙】に掲げる額の合計に、100分の105を乗じて得た額を予定価格で除して得た額とする。ただし、その割合が10分の8を超える場合は「10分の8」にとどめ、10分の6に満たない場合にあっては「10分の6」とする。

 さらに、別会社に落札者の自己負担で調査を義務づける「クロスチェック」を強化。

 第三者照査者を記載したクロスチェック計画書の提出を契約締結後15日以内とし、守られない場合は契約違反で指名停止とする。また、第三者照査で不適切な行為があった場合も指名停止。第三者照査者の変更も原則認めない方向とした。

 そのほか第三者照査者の選定基準についても特記仕様書で条件を付す予定だ。

 茨城県ではコンサルに低入札価格調査制度を設けた17年6月からクロスチェックを実施。最近では、関東地方整備局がことし2月から導入し、千葉県がきょうから導入した。

 ことしに入るまで、現行の制度範囲で著しい低価格入札が見られなかったことから、「今回のさらなる改正で、ある程度の効果が期待できるのでは」(県監理課)としている。

 今後、この試行を一年間進めるが、それでもダンピングが止まらないようであれば、最低制限価格調査の導入も検討せざるを得ないだろう。



調査基準価格の算定方法

①測量業務

 直接測量費+諸経費×0.3

②土木関係建設コンサルタント業務

 直接業務費+技術経費+諸経費×0.3

③建築関係建設コンサルタント業務(工事監理含む)

 直接人件費+技術経費+特別経費+諸経費×0.3

④地質調査業務

 直接調査費+間接調査費+諸経費×0.3

  ※解析等調査が含まれる場合、解析等調査については「②土木関係建設コンサルタント業務」による

⑤補償関係コンサルタント業務

 直接業務費+間接業務費×0.3



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