松本砂防事務所工事安全対策協議会の第12回工事安全対策研究発表会で、斜面の崩落や墜落・転落防止対策への取り組みで優秀賞を受賞した。小谷村の葛葉山腹工法面工工事の監理技術者として、不安定な状態の斜面でモルタル吹付けによる挙動監視や親綱の管理、安全ブロックワイヤーの使用など、専門工事業者としての取り組みが評価された。
斜面の挙動監視では、法肩部にモルタルを吹付(t5cm、ラス金網なし)、日々の点検でクラック幅を観察し、幅が進行した時点で点検強化などを図った。親綱は着色シグナルロープを使用、使用期限を4箇月に設定し、全ての親綱両端に使用開始年月日、長さ、管理番号を記入した管理札を貼り付けた。また万一、親綱やロリップに不具合が生じた場合に備え、安全ブロックワイヤーの取付けを義務付け、親綱2本使いに比べ作業性が良く、作業員には好評だった。このほか、すれ止め防止用と転落防止柵を兼ねた単管パイプの設置、親綱養生カバーの設置、施工が進行した時点で中間作業足場を設置、材料運搬や親綱の長さが短くなることからなどから作業性の向上も図った。
「安全対策を確実に行ったから、転落・墜落事故は絶対に起きないとの補償はない」との信念で、この春からの工事再開に望む。
◆大旗 一男氏(おおはた・かずお) 日特建設株式会社北陸支店 作業所長 昭和27年6月5日生まれの57歳 自宅は新潟県新潟市南区
【写真:すれ止め防止と転落防止柵を兼ねた単管パイプと中間足場を設置した現場。安全ブロックワイヤーも使用】