沼田市は中心市街地で計画している旧久米邸移築工事を2~3月に発注する見込みを示した。現在、実施設計業務の最終段階を迎えており、完了後早期に工事発注へ移行する。2022年度中の完成を目指す。発注は工種を建築一式とし、工事金額規模や過去の同様の工事実績から、一般競争入札公告が濃厚とみられる。当初予算には2カ年継続費として1億4651万円を設定している。
旧久米邸は沼田市名誉市民である久米民之助翁が暮らした東京都渋谷区代々木上原の邸宅で、ウィーン分離派のセセッション風の外観が特徴。久米民之助翁に縁があり、同じく渋谷区にあった旧土岐邸洋館を移築した実績があることから、情報提供があり、市内への移築が決定した。
久米邸洋館保存管理計画策定検討委員会は21年3月に初回の会合を開催し、同計画を策定するまでの課題を整理。市内にある当該建物の部材選定などに取り組んだ。これらの調査が完了してから第2回目の委員会を8月に開き、改めて有識者の意見を取り入れ、設計業務に反映させた。
建物はW造一部RC造平屋、テラス部分を除いた概寸で床面積約90㎡。現地での解体は完了しており、市内に部材が保存されている。移転先は国道120号沿い、旧沼田貯蓄銀行や生方記念文庫、旧日本基督教団沼田教会紀念会堂、旧土岐邸が並ぶエリア。「大正ロマンのまちづくり」と銘打つ中心市街地に移築することで、相乗効果の発揮が期待されている。
設計業務はコンサルが進めているが、会社名は非公開。
当初予算には実施設計委託料672万円、監理委託料483万6000円、移築工事費5376万8000円を計上しており、工事費などを含む継続費は、21年度5860万4000円、22年度8790万6000円の内訳。