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栃木県農地整備課

県農地整備課、思川圏域で雨水抑制指針、調節池、ため池、田んぼダム

2022/01/13 日本工業経済新聞(栃木版)

 県は、農村地域における雨水流出抑制対策を検討する基本指針の策定に着手した。当面は思川圏域を対象に、流域市町の生産基盤整備構想に効果的なハード対策などを位置づけていく。県農地整備課によると、圃場整備事業による河川調節池の用地の創設、農業用ため池の機能強化と事前放流による貯留、田んぼダムによる雨水の一時的貯留を3本柱とし、対策を実施していくため2022年度にも流域協議会を立ち上げる見通しを示した。基本指針の策定は、建設技術研究所が担当している。

 農村地域における雨水流出抑制対策の基本指針は、対象流域の浸水被害状況や農業生産基盤、営農状況などを調査。効果的な雨水流出抑制対策の内容や実施エリアについて、シミュレーションによる対策の評価と合わせ指針として取りまとめる。

 現在策定中の思川圏域は、思川本川筋の思川、豊穂川、小藪川、宮入川、大芦川、荒井川、東大芦川、蕗平川、南摩川、粟野川各流域で、上都賀と下都賀農業振興事務所にまたがる農地が対象。策定に当たっては流域の市町や土地改良区など関係者による策定委員会を組織しており、年3回程度の会議を行い報告書をまとめる。

 特に思川圏域では東日本台風で、思川、黒川、荒井川が破堤。これら3河川で農地7カ所延べ9haが被災したほか、農業水利5施設も被害を受けた。東日本台風など多大な被害をもたらす集中豪雨が頻発しており、農村とその下流域における水害リスクの軽減を図るためには、農村地域に降った大量の雨水を一気に河川に流さない雨水流出抑制対策が重要となっているとしている。

 生産基盤整備構想は、農地整備など基盤整備の方向性を市町別にまとめたもの。地域の実情に応じた雨水流出抑制対策の実施方法について、基本指針を踏まえ個々の農村地域のハード・ソフト対策として反映させる。

 構想反映に合わせ、対策内容を具体化し実施に向け、県や市町、土地改良区などで構成する流域協議会を設立する計画。関係者による合意形成を図るもので、営農への影響など対策の内容に応じて実施時期や費用負担などについて協議する。これら流域協議会での検討を踏まえ、市町が主体となり具体的なハード・ソフト対策を実施していく。

 雨水流出抑制対策として挙げられる調節池、農業用ため池、田んぼダムは、同一エリアで複数の対策を組み合わせ、実施していくことで効果を上げていくとしている。

 貯留や事前放流など治水対策に効果が見込まれる農業用ため池については現在、防災重点ため池の指定とともに防災工事等推進計画の策定に伴う調査を実施。基本指針と整合を図り、推進計画を策定していく予定という。

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