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栃木県下都賀農業振興事務所

下都賀農振、調整池3カ所、揚水機4基新設、中谷の農地整備71.4ha採択へ

2022/01/15 日本工業経済新聞(栃木版)

 県下都賀農業振興事務所は、農地整備事業の中谷地区(野木町)の計画をまとめた。整地工面積は71・4ha。標準区画1haの大区画圃場を整備し、小山用水沿いの42haで暗渠排水工と客土工を実施。揚水施設4基を新設し、高台の用水路はパイプライン化する。下流域の排水負担軽減などに配慮し、調整池を3カ所に計画。県が2カ所、野木町が1カ所を整備する。総事業費は16億3900万円。2022年度からの事業採択を国に申請しており、期間は28年度までを予定。早ければ23年度の工事着手を目指している。

 地区は中谷、南赤塚、丸林、友沼、野木にまたがる農地。戦前に耕地整理事業が行われた区域と未整備の区域で構成。小山用水を水源とする西の水田地域と高台で揚水機を水源とする東の開田地域に大きく分かれ、西は工業団地や住宅地、南東部は茨城県境の一般県道東野田古河線に接している。現況の土地利用は水田72・3ha、畑7・2ha。

 一帯の農地は10㌃程度と区画が狭く、水利施設の多くは用排水兼用の土水路。道路は幅員3m程度の土砂道。西側は土壌に軟弱層が存在し、水田の汎用化や大型機械の導入が進まない。戸別に設置された陸田の揚水機は老朽化し更新時期を迎えている。

 このため農地整備事業で区画の整形・拡大と併せて道路や分離された用水路、排水路などを一体的に整備。水稲や二条大麦に加え、タマネギなど収益性の高い作物が作付けできる生産性の高い農業基盤を創出する。

 計画事業量は整地工71・4ha(工事費3億8500万円)、道路工8㎞(1億2500万円)、用水路工12・4㎞(1億6100万円)、水源施設4基(7400万円)、排水路工10・7㎞(3億400万円)、調整池2カ所(2億5800万円)、暗渠排水工42ha(1億2700万円)。測量試験費は2億500万円(換地費約1億4000万円)を見込んでいる。

 標準区画1ha(耕区100×100m)を地区内の50%以上に配置し、可能な限り大区画の圃場を確保する。小山用水沿岸の水田では暗渠排水工と客土工を42haで計画。暗渠排水工はφ75~150の素焼き土管の埋設を想定。実施設計で材質などを確定していく。

 水源施設は揚水機を統廃合し、東側に3基と西側に1基を新設。小山用水沿いの揚水機(3基)は既存施設を利用する。用水路の延長は高台のパイプラインが約6・7㎞、小山用水沿いの開水路が約5・7㎞を予定。ICTを活用した自動給水栓を設置し、水管理の省力化を図る。

 水路の標準断面はパイプライン(塩ビ管)がφ50~200㎜、コンクリートの小用水路が幅300~400㎜×深さ300~400㎜。支線排水路が幅600~1200㎜×深さ600~900㎜、小排水路が幅400~1200㎜×深さ400~900㎜。

 道路は幅員5mを基本に幅4mの敷砂利舗装(厚さ100㎜)を実施。耕道は幅員3mで幅2mに敷砂利舗装を施す。

 事務所が整備する2カ所の調整池は、下流域の水路の排水能力を考慮して東の区域に設置。規模は上流側が面積1万200平方m(容量1万1500立方m)、下流側が9400平方m(1万500立方m)を想定。

 調整池はコンクリート構造で護岸部はブロック積みを計画。調整池築造工事は圃整工の時期に併せて実施。事業コスト縮減のため、掘削土は小山用水沿いの客土材への流用を検討していく。

 工事にあたっては、生物の生息環境と移動経路を確保する深み水路を適宜配置。平地林境の排水路の一部にヒューム管(φ1350㎜)を用いた水路横断施設工を設置するなど生態系に配慮した工法を検討していく。

 22年度からは実施設計(外業)や換地原案の作成、実施設計(内業)の期間に1~2年を充て工事に着手する。

 非農用地は西側の下流に0・5haを確保。市街地の溢水対策として町が道路排水などを受ける調整池の整備を予定している。

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