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長野県,(社)長野県建設業協会

協会「5者未満の失格基準引上げを」/資材価格の逆ザヤ解消も要望/地域を支える建設業検討会議

2022/04/09 長野建設新聞

 県と県建設業協会で組織する『地域を支える建設業検討会議』の第45回全体会議が7日、長野市のホテル国際21で開かれ、建設産業の喫緊の課題である担い手確保と生産性向上に向けた施策などについて議論した。協会は応札者数が5者未満の場合の失格基準価格等の引き上げや建設資材価格の逆ザヤの解消などを求めた。

 議事に先立ち県の田中衛建設部長は「本年度予算は防災・減災のために最大限活用している。1月補正分は円滑に執行するため、6月までに入札公告を終えるようにする。またゼロカーボンにも積極的に取り組んでいく」と述べ、協会に対し協力を求めた。

 協会の木下修会長は「(上部団体である)全国建設業協会の月刊広報誌でこの会議が取り上げられ、先進事例として高く評価された。地域住民が豊かで、安心して暮らせるよう、社会資本整備を着実に推進する必要がある。そのためにもこの検討会議を継続し、建設産業が将来にわたり持続的に発展するよう取り組んでいきたい」と、発足から14年目を迎えた会議の意義を強調した。

 議事では県が本年度の主な取り組み方針を説明。「1月補正予算分は6月末までに全て公告する」との方針を示したのに対し、協会は「応札者なしの不調には、現場の状況にも要因がある。現場をしっかりと見た上で発注時期を見極める必要ある」と提案した。

 また若手技術者の育成対策として、本年度から総合評価落札方式(工事成績等簡易型)における「若手技術者(40歳以上)の配置」の項目の配点を0.25点から0.5点に引き上げたことに対し、協会からは「若手を採用したくてもできない企業も多い。現状を踏まえて策を講じてほしい」と否定的な意見も出た。県は「会社として若い人へ投資できる体制にしていきたいと思っている。まずは実施し、効果を分析したい」と理解を求めた。

 一方、協会はポストコロナを見据えた内需拡大、公共事業予算の持続的・安定的な確保や、応札者数が5者未満の場合の失格基準価格の算定方法の見直し、建設資材価格の逆ザヤの解消などを求めた。

 このうち5者未満の失格基準価格については、「20年度の平均参加者数は3.8者。近年、入札参加者数が減少傾向にある。算定フローは5者以上か否かで分かれているが、こうした状況を踏まえ、5者未満の場合の低入札価格調査基準価格92%、失格基準価格89.5%の引き上げが必要」と要望。

 さらに、今年4月から国および中央公契連モデルの低入札価格調査基準の計算式が改定され、一般管理費等の算入率が0.55から0.68に引き上げられたことを踏まえ、対応を質した。

 これに対し県は「県発注工事の平均落札率は全国平均を上回っている。引き続き企業の経営状況などを注視していく」とし、ただちに改定する状況にはないとの考えを伝えた。

 建設資材価格については協会が「運搬費を含め値上がりが続いており、実勢価格と設計価格の逆ザヤが長期に渡れば、企業の経営に大きな影響が及ぶ」とし、「新単価を反映した設計積算を行うとともに、困難な場合には発注後、遡って新単価への変更を行ってほしい」と求めた。

 また、国が4月から実施している賃上げ企業への総合評価における加点措置について「地域の経営状況を十分考慮し、慎重に検討してほしい」との意向を伝えた。

 このほか優良技術者表彰について、地域別の偏りを指摘し、県の見解を質すとともに、インセンティブの見直しを要望。県は「評価の方法などについて引き続き検討する」と答えた。

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