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【約款改正】建設発生土の搬出先明記/暴力団排除へ対象拡大も

2022/06/22 本社配信

 国土交通省の中央建設業審議会(中建審)は21日に総会を開き、建設工事標準請負契約約款の改正を審議、了承した。公共約款および民間約款(甲)では建設発生土の搬出先を明確化するほか、暴力団排除条項の対象を拡大するため公共約款の改正を行う。中建審では、同日付で公共発注者や民間建築関係団体に対して改正を勧告している。

 建設発生土の関係では、危険な盛り土等の発生を防止するため、特に公共工事では発注者が工事の発注段階で搬出先を指定する「指定利用等」を行うことが重要であることを考慮。工事現場から建設発生土の搬出予定がある場合は、契約書に「建設発生土の搬出先の名称及び所在地に定めるとおり」と記入し、仕様書に搬出先の名称と所在地を定めることにした。発注者による指定利用等の実施に当たっては、法令に基づく都道府県知事等の許可を受けた適正な搬出先であることをあらかじめ確認する。また、工事の発注段階で暫定的に搬出先を指定する場合は、確定後に速やかに受注者に指示等を行い、必要に応じて設計変更するなど適切な対応が必要とした。さらに、5月20日に変更された入札契約適正化指針を踏まえ、建設発生土の運搬・処分等の費用は適正に積算へ反映しなければならず、契約締結後に予期せぬ増加があった場合には、追加負担を受注者と適切に協議し、必要に応じて適切に契約変更を行うことにも留意を求めた。

 民間約款(甲)では、仕様書に搬出先の名称と所在地を定めることが「望ましい」とし、困難な場合にも「発注者は、受注者により建設発生土の適正処理が行われることを確認すること」が求められると記載した。

 今後、資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画制度の強化が行われた場合、受注者は当該計画とその実施状況の記録を発注者に報告・説明しなければならない旨を追記する予定だ。

 公共約款の改正では、公共工事におけるさらなる暴力団排除を徹底する。警察庁と各省庁の合意書を参考に、①公共約款の「役員等」の範囲に含まれない「その他経営に実質的に関与している者」が暴力団に便宜供与等を行った場合②役員等が暴力団または暴力団員であることを知りながらこれを不当に利用するなどしていると認められる場合―に発注者が契約解除を行うことを可能にした。経営に実質的に関与している者としては顧問、相談役、支配人、一定以上の株式を保有する株主等も新たに「役員等」の範囲に含まれることになる。

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