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栃木市、栃木文化会館を大規模改修、調査踏まえ、来年度に基本計画

2022/06/22 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は、栃木、大平、藤岡、岩舟の4文化会館再編ロードマップを策定した。栃木文化会館は長寿命化を図りながら長期的に使用。2022年度は6月補正予算案で1980万円を措置し、建物設備劣化状況調査を委託。23年度は施設整備基本計画を策定する。大規模改修に向け24年度は基本設計、25年度に実施設計を委託。26~27年度で第1期改修工事、28~29年度で第2期改修工事を進める。この間の緊急を要する不具合箇所は、補修工事で対応する。築30年以内の岩舟文化会館は、個別に施設修繕や設備更新を実施する。

 1市5町の合併により、現市は旧市町が整備した類似や老朽化施設を多数所有。象徴的な事例が文化会館であり、都賀文化会館は都賀総合支所複合化事業に伴い21年3月に閉館した。いずれも経年劣化した4館が残り、改修時期の見通しが立っていない。

 21年3月に策定した「市公共建築物個別施設計画第1期計画」では施設の老朽化や利用状況を踏まえ、文化会館は順次廃止し集約化を図ることを明示。ただし藤岡、大平、西方の各総合支所複合化の際に、市民利用施設機能の維持を盛り込んでいる。

 市中心部に立地する栃木文化会館(旭町)は、SRC造地上3階地下1階建て延べ7916・18平方m。大ホール1204席、小ホール401席、楽屋7(洋室5、和室2)、練習室2、会議室2、18畳和室2、応接室、展示室、駐車場335台を完備する。

 1983年10月の開館以来、築38年が経過。2021年4月から「とちぎ岩下の新生姜ホール」の愛称で呼ばれる。22年度の建物設備劣化状況調査の結果、中長期的な使用が困難と判断された場合は建て替えを検討。急を要する修繕は早期に対策を講じる。

 国道50号線沿いの交通利便性の高い場所にある岩舟文化会館(岩舟町静)は、SRC造地上4階地下1階建て延べ3394・97平方m。ホール704席、多目的ホール220席、楽屋4(洋室3、和室1)、応接室、駐車場292台(大型車2台)を備える。

 1994年4月の開館以来、築28年が経過。コスモスホールの愛称で親しまれ、遣唐使船をモチーフにした外観が特徴的。ドイツのケヴァントハウスをモデルにした美しく音響に優れたホールは、人気が高く利用状況も良好。当面は必要な補修で使用する。

 渡良瀬川のほとりに建つ藤岡文化会館(藤岡町藤岡)は、SRC造地上2階地下1階建て延べ3199・3平方m。利用者数応じホールは全開(1004席)、半開(404席)、多目的ホール(346平方m)の3パターンの使い分けができる。築29年。

 太平山を望む大平文化会館(大平町蔵井)は、SRC造地上2階地下1階建て延べ2661・92平方m。ホールは901席、楽屋3(洋室2、和室1)、リハサール室(78平方m)がある。観客席との距離が短く、ステージの臨場感が伝わりやすい。築33年。

 藤岡、大平の両館は総合支所複合化の際に機能を移転する。藤岡総合支所複合化は25年度、大平総合支所複合化は30年度に着手予定。今後の財政状況を勘案し、類似施設の整備時期を分散化。財政出動平準化に向け、大型事業の整備スケジュールを見直した。

 将来的に4館は21年6月策定の「市立地適正化計画」に基づく栃木複合拠点都市に定めた栃木駅、新栃木駅周辺への集約を目指す。藤岡、大平の両館開館中は施設や設備の修繕を怠らず、利用者に不都合を来さぬよう配慮。複合化の際は既存施設改修も検討する。

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