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栃木市、衛生センターを更新、来年度に基本構想 貯留棟と水処理棟を改築

2022/08/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は9日、し尿処理施設「市衛生センター施設更新」(城内町2-61-5)について市議会に説明した。2023年度に基本構想を策定し、24~26年度の3カ年で基本計画・基本設計をまとめる。27年度に整備業者を選定し、受け入れ貯留棟と水処理棟を一体で改築する。28~30年度の3カ年で更新工事を進め、31年度の新施設稼働開始を目指す。

 市衛生センターは敷地面積1万6340平方mを有し、RC造2階建ての受け入れ貯留棟、水処理棟、管理棟の3棟が建ち並ぶ。貯留棟は延べ1508平方m、水処理棟は延べ2260平方m、管理棟は延べ365・27平方m。いずれも耐震基準を満たす。

 築年数は貯留棟と管理棟が各38年、水処理棟が27年。し尿を受け入れた貯留棟で前処理までを済ませ、し尿を水処理棟で分解する。処理水は放流し、汚泥は再資源化している。貯留棟と水処理棟で連携処理するため、分離更新は現実的ではない。

 生し尿と浄化槽汚泥が搬入され、1日当たり75㎞㍑の処理能力。21年度は2万3542・8㎞㍑が搬入され、日量64・5㎞㍑を処理した。既存施設は栃木、大平、都賀、西方地域のし尿を処理。新施設は藤岡、岩舟地域を含めた処理能力に拡大する。

 19年度の余寿命検討では土木建築、機械配管、電気計装設備を現地調査し、劣化状態を把握。詳細調査の結果、貯留棟構造体の安全性担保は35年度までが限界。機械設備のFRP劣化や鋼鉄部の腐食進行を考慮し、不測の事態を避ける整備方針を導いた。

 施設更新時期は余寿命限界から5年間の余裕を見込み、31年度への前倒し方針が決まった。県は国の汚水処理施設指針に基づき、下水道、農業集落排水処理施設、し尿処理施設の広域化・共同化計画を22年度に策定。市の基本構想は県計画を踏まえた内容とする。

 県は①効果的で効率的な施設による良好な生活環境と水環境の早期実現②施設の適正管理と経営健全化による持続可能な生活排水処理システム構築③汚泥再資源化による循環型社会への貢献④構想の見える化による県民と一体となった取り組み-を強化する。

 市は県南ブロック(足利、佐野、栃木、壬生の4市町)に位置付けられ、県が課題の共有や広域化・共同化の効果を検討中。県はブロック単位の共同化・広域化が可能な施設を短期、中期、長期で示す。県計画は市計画のハード対策の指針となる。

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