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【臨海部強靱化】耐震強化岸壁など加速/あり方骨子案まとめる

2023/04/20 本社配信


 国土交通省は港湾関係で、気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方についての方向性を示した。大規模地震や大規模台風来襲、海面上昇などに対応した強靱化として耐震強化岸壁整備等の加速化、埠頭用地のかさ上げ、防波堤の補強・かさ上げといった事前対策、さらに被災後の早期復旧、官民連携での気候変動適応インフラ基本計画(仮称)の策定などの対策が必要とした。

 港湾・臨海部の強靱化の推進に関しては▽災害等に強い海上交通ネットワーク▽面的防護の推進▽実現のための枠組み―から施策展開方向を示した。

 海上交通ネットワークについては、災害時等に備え事前対策として、耐震強化岸壁の整備、臨港道路の耐震化、「粘り強い構造」を導入した防波堤の整備、港湾施設のかさ上げ等ハード対策と港湾防災DXの高度化等ソフト対策を進める。

 耐震強化岸壁整備は、災害時の艦船や内航フェリーなど輸送網強化へ耐震改良等の取り組みを計画的に進める。また、緊急物資対応については、3日目までに岸壁の機能が回復できるように、修復性を担保した耐震強化岸壁を確保する。

 気候変動適応として、高潮等のリスクに対し、発生頻度の高い災害情報を関係者で共有。平均海面水位の上昇等に備え、埠頭用地のかさ上げや防波堤等の補強・かさ上げ等を計画的に推進する必要がある。

 面的防護の推進では、災害等に対する脆弱性の評価でリスクの見える化、官民連携した防災・減災対策の実施、背後地を護る事前対策を上げている。

 官民連携の防災・減災対策は、脆弱性評価に基づいた防護水準、適応時期など共通の目標を含むインフラ基本計画の策定などを通じた対策の実施が必要。

 背後地関係は気候変動を踏まえ、防護ラインの見直しも含め、海岸保全施設整備を加速化させる。また、海岸堤防等を乗り越える階段やスロープの導入を含む陸閘等の統廃合・常時閉鎖、残る施設の自動化・遠隔操作化の推進が必要とした。

 実現に向けた枠組みとして、気候変動適応等を協働して進める関係者の枠組みをつくる。また、気候変動や施設の状況、その影響等を踏まえた時間軸を持った計画的な取り組みと適時の見直しが必要。平時からの作業船団の維持、新技術について積極的に採用し、効率的な港湾・臨海部の強靱化を推進する必要があるとしている。

 20日の交通政策審議会港湾分科会防災部会で答申骨子案を審議、委員の意見など踏まえ、次回は答申案について議論する。

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