コラム

2009/04/30

守りたい職人が育つ環境(群馬・NA)


▼「あなたの夢はなんですか?」某ランドセルメーカーがこのほど発表したアンケート「新1年生の就きたい職業・親の就かせたい職業」。男子が就きたい職業では、11年連続で「スポーツ選手」がトップ。女子は「パン・ケーキ・お菓子屋さん」「花屋」に人気が集中した

▼注目なのは男子で「職人(大工左官など)」が上位に入ったこと。就きたい職業では前年の5位→2位に、親が就かせたい職業でも7位→5位にランクアップ。パイロットや医師を抑えての堂々の順位だ。同時に「板前・コック・すし職人」なども脚光を浴びている

▼こどもの「職人」へのあこがれは以前からあった。反面、長年、親の希望職種は会社員や公務員など「安定」がキーワード。ところが大企業でもリストラの嵐が吹き荒れる先行きが不透明な昨今。組織だけに頼らず、手に職をつけて食べていってほしい、という願いが強くなったようだ

▼この春、各地の認定職業訓練校では入校式が挙行された。大工や左官、造園、自動車板金などの技術を学ぶため、数年にわたり、昼は職場で働き、夜は訓練に励む。これまでに多くの「職人」を輩出してきた訓練校だが、実情は苦しい。不況の中、事業所は訓練費用の負担がままならず、訓練生が減少。毎年数校が休校に追いやられている

▼技術を受け継ぐ人材育成の場を存続させるため、新しい方策が求められている。身近にある、こどもたちの夢をはぐくむ受け皿がなくなることにおおきな不安を覚える。日本のものづくりの技術は、世界に誇れるものだ。この国の将来支える「職人」が育つ環境を、簡単に失わせてはならない。(群馬・NA)

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